2024 年 49 巻 4 号 p. 397-401
症例は70代,女性.高血圧と脂質異常症のため近医へ定期通院していた.視野欠損を自覚したため眼科を受診するが,脳梗塞を疑われ脳神経外科を紹介された.脳神経外科で右後頭葉の脳梗塞を指摘され緊急入院となった.心原性塞栓が疑われ経食道心エコー図検査を施行され,クマジン稜に付着する10 mm大の可動性がある表面平滑な無茎性腫瘤が認められた.血栓を疑い抗凝固療法を施行されたが形態変化を認めないため,精査加療目的に当院を紹介された.転院後施行した経食道心エコー図検査では心臓内腫瘤は辺縁滑,柔らかく可動性が大きく,内部は低/等輝度エコーであった.塞栓症を生じた原因である可能性が高く,腫瘤の最大径が10.7 mmあるため外科的切除の方針となった.術中所見では,心臓内腫瘤は柔らかい透明なゼリー状でクマジン稜に付着しており,明らかな茎は認識できなかった.摘出された腫瘤は乳頭状線維弾性腫と病理診断された.脳梗塞を契機に,非特異的な付着部位であるクマジン稜に付着する乳頭状線維弾性腫を発見し,外科的手術で良好に切除された1例を経験した.経胸壁心エコー図検査では心臓内腫瘤の描出が困難なこともあり,特に塞栓症がある場合は,経食道心エコー図検査による精査が重要と考える.