超音波検査技術
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心臓超音波検査が診断の一助を担った急速進行性心サルコイドーシスの1例
小河 純有馬 秀紀原 淳一河村 健吾根岸 優希松山 紗綾木下 朋幸花村 圭一
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: 321

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抄録

はじめに:サルコイドーシスは多臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の全身性疾患である.今回我々は,左室壁運動低下を認めてから数週間で壁の菲薄化に至り,急速に悪化した心サルコイドーシス症例を経験したので報告する.

症例: 60代女性.既往歴は左鎖骨下動脈閉塞,ペースメーカー植込み術(DDD; 201X年3月).201X年5月に心不全として紹介され,外来心臓超音波検査では,左室の広範な壁運動低下(前中隔・下壁中隔・前壁・側壁・心尖部)と左室拡大,左房拡大,右房拡大,中等度僧帽弁逆流,高度三尖弁逆流を認め,LVEFは35%だったが,中隔の菲薄化などは認めなかった.2週間後に心不全悪化で入院となった.第5病日に施行された冠動脈造影では有意狭窄はなかった.第9病日に非持続性心室頻拍が心電図モニタで記録された.第10病日に再度施行した心臓超音波検査で,左室前中隔基部の菲薄化を認めた.冠動脈の支配領域に合致しない広範な壁運動低下および壁の菲薄化を認めたことより,急速に進行する心サルコイドーシスを疑い,担当医に報告した.第11病日に提出された検体で,血清リゾチーム値高値を認めた.第12病日にFDG-PET CTを施行し,左室前壁・中隔の異常集積を認め,心サルコイドーシスの活動性病変と読影され,これまでの経過より心サルコイドーシスと診断された.同日から3日間のステロイドパルス療法が始められた.

考察:冠動脈支配に合致しない左室の壁運動低下のみでは,心サルコイドーシスの診断は難しい.本症例は,壁の菲薄化が認められたため心サルコイドーシスを疑うことができたと考える.左室壁運動低下から壁の菲薄化まで極めて短い期間で進行した本症例は,急速進行性であったと考えられた.心サルコイドーシスは一般的には慢性経過であるが,急速に進行することがある.急速進行性の症例は報告数が少なく,非常にまれな症例であると考えられた.

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© 2021 一般社団法人日本超音波検査学会
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