2023 年 39 巻 3 号 p. 125-132
【背景】排便ケアは、病院や医療介護の現場で日常的に行われるケアであるが、その実態は、3日間便がでなければ下剤が処方され、訪問看護では訪問日を決めて摘便や浣腸を行い、便を「出す」ことだけに主軸がおかれている。われわれは、利用者が便を「気持ちよく出す」ために、地域包括的排便ケアシステムの構築活動を実践しているので報告する。
【方法】地域包括的排便ケアシステム構築のために実践している「POOマスター養成研修会」プログラム作成とPOOマスター養成、POOマスターとしての訪問看護師による排便ケアの実践、小松市における地域包括的排便ケアシステム構築プロセスに関して、後方視点的に分析した。
【結果】2016年から2022年にPOOマスター養成研修会を受講したPOOマスター認定者は603名であり、43都道府県にいた。認定者の職業は看護師が最も多く、次に介護福祉士が多かった。排便ケア改善のためのアクションは、排便チェック表の導入や伝達講習会の開催が多かった。
【結語】気持ちよい排便を実現するためには、地域包括的排便ケアシステムの構築が重要と考える。