日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
39 巻, 3 号
39巻3号(通巻109号)
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
学会参加報告
歴史に学ぶ:先達の回想録 第4回
特集 ワークショップ 「地域でのストーマ・排泄ケア教育」
  • 上川 禎則, 近石 昌子
    2023 年 39 巻 3 号 p. 120
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー
  • 高橋 真紀, 神山 篤史, 齋藤 優紀子, 渡邊 涼子, 熊谷 英子, 柴﨑 真澄, 海野 倫明
    2023 年 39 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【背景】ストーマリハビリテーションの基礎教育は、講師の人材育成も含めて地域講習会に一任されている。今回、東北ストーマリハビリテーション講習会(当講習会)で実践してきた看護師講師の人材育成方法について報告する。

    【方法】当講習会の歴史、看護師講師の選定・育成方法を後方視的に検討した。

    【結果】東北地区より募集した皮膚・排泄ケア認定看護師が運営委員となり、講習会の運営を行いながら講義を聴講し、実習アシスタントとして実習講師と相談しながら実習の流れや実習指導方法を学んでいた。そして、実習講師を経験した後に講義の講師を担当するが、同じ講義の担当は原則2~3年として担当者を交代していた。この講師育成方法は、COVID-19感染拡大に伴う講習会形式の変更があっても柔軟に対応できていた。

    【考察・結論】当講習会での人材育成方法は、看護の臨床現場で行われている人材育成法であるプリセプター制度とOJT(On the Job Training)教育やクリニカルラダーに近い方法であり、講習会の運営にも有用と思われる。

  • 榊原 千秋
    2023 年 39 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【背景】排便ケアは、病院や医療介護の現場で日常的に行われるケアであるが、その実態は、3日間便がでなければ下剤が処方され、訪問看護では訪問日を決めて摘便や浣腸を行い、便を「出す」ことだけに主軸がおかれている。われわれは、利用者が便を「気持ちよく出す」ために、地域包括的排便ケアシステムの構築活動を実践しているので報告する。

    【方法】地域包括的排便ケアシステム構築のために実践している「POOマスター養成研修会」プログラム作成とPOOマスター養成、POOマスターとしての訪問看護師による排便ケアの実践、小松市における地域包括的排便ケアシステム構築プロセスに関して、後方視点的に分析した。

    【結果】2016年から2022年にPOOマスター養成研修会を受講したPOOマスター認定者は603名であり、43都道府県にいた。認定者の職業は看護師が最も多く、次に介護福祉士が多かった。排便ケア改善のためのアクションは、排便チェック表の導入や伝達講習会の開催が多かった。

    【結語】気持ちよい排便を実現するためには、地域包括的排便ケアシステムの構築が重要と考える。

  • 杉元 幹史
    2023 年 39 巻 3 号 p. 133-137
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】香川県における排尿・排泄ケア問題の現状と今後の課題について、特定非営利活動法人「かがわ排尿・排泄ケア問題を考える会」の活動を通じて検討する。

    【方法】「かがわ排尿・排泄ケア問題を考える会」の活動内容についてそれぞれ解説する。

    【結果】市民公開講座では毎回様々なテーマを取り上げ、各分野の専門家に講演を依頼。排泄サポートセミナーでは、専門職を対象として、エキスパートによる講義、グループワークでの事例検討、体験実習を通じたケア用品の講習などを行い知識技術の向上を目指している。また、県民の排尿管理の実情を把握するために「香川県における排尿実態調査」を施行したところ、「排尿排泄管理についての知識・意識不足」「専門医、一般医家、看護介護職の連携不足」「マンパワー不足」が問題点として抽出された。

    【結語】すべての人が排尿・排泄に悩まない社会をつくることを目標とし、この方面に関する意識の向上を図るために、医療従事者および一般市民への啓発活動が重要である。

原著
  • 松島 小百合, 紅谷 鮎美, 小菅 経子, 黒水 丈次
    2023 年 39 巻 3 号 p. 138-145
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】肛門括約筋機能低下を有する女性における便失禁の要因を検討する。

    【方法】2019年1月から4月に、肛門括約筋機能低下(最大静止圧:以下MRP<45mmHgかつまたは最大随意収縮圧実測値:以下MSP<130mmHg)と診断された女性を対象に、便失禁群と無便失禁群に分けて、2群間で便失禁の要因を多変量解析にて後方視的に検討した。また便失禁群では、治療による肛門内圧や症状スコアの変化も検討した。

    【結果】解析対象は221人(年齢中央値:75歳、四分位:64-80歳)で、便失禁群149人、無便失禁群72人であった。両群間でMRPとMSPに有意差はなかったが、便失禁群は有意に高齢で、排便回数が多く、直腸脱と鉗子分娩が多かった。多変量解析では、排便回数2回以上/日と鉗子分娩が便失禁の独立リスク因子として同定された。便失禁群で治療開始から6ヵ月時点まで評価できた15例では、治療前後でMRPとMSPに有意差はなかったが、症状スコアは有意に改善した。

    【結語】肛門括約筋機能低下を有する女性において、排便回数2回以上/日と鉗子分娩の既往が、便失禁の独立リスク因子であることが示唆された。

総説
  • 白石 卓也, 廣畑 梓, 西澤 祐吏
    2023 年 39 巻 3 号 p. 146-161
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

     ストーマ周囲皮膚障害はストーマ周囲皮膚合併症とも呼ばれ、ストーマ関連合併症の中で最も高い頻度でみられる。ストーマ周囲皮膚障害は、ストーマ管理を困難にし、かゆみや痛みといった症状を引き起こして患者のQuality of Lifeを低下させるだけではなく、装具交換頻度や医療機関受診頻度の増加によって経済的な負担もまねく。初期に適切なケアがなされないと重症化しやすく、身体的苦痛が生じるだけでなく、装具を装着できない状態に陥いることも多い。

     したがって、ストーマ周囲皮膚障害を発生させないように、そのリスク因子を把握してストーマを造設することや、重症化させないよう早期発見することが重要である。また、確実なセルフケア指導と社会生活を見据えたストーマケアや継続的なフォローアップ体制を確立することも大切である。

     本総説では、ストーマ周囲皮膚障害の定義と病態、発生頻度とリスク因子、予防のためのストーマ造設方法、予防および重症化予防のためのアセスメント方法、病院内でのアセスメントツール活用効果、治療法、チーム医療の重要性について概説する。

症例報告
  • 栃木 透, 大平 学, 今西 俊介, 丸山 哲郎, 遠藤 悟史, 柳橋 美幸, 丸山 通広, 松原 久裕
    2023 年 39 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【背景】ストーマ脱出はストーマ造設後にしばしばみられる晩期合併症である。患者のQOLを損なう上に保存的に改善することはなく、時に管理に難渋する厄介な合併症の1つである。侵襲的な治療が必要とされるが、これまで標準的な治療法は確立されていないのが現状である。直腸脱に用いられるAltemeier法を応用し、双孔式横行結腸ストーマの脱出に対して形成術を施行したので報告する。

    【症例】70歳男性。膀胱癌による直腸浸潤・狭窄のため当科紹介となり、横行結腸に双孔式ストーマ造設術を施行した。しかし早期にストーマ脱出が認められて痛みも伴うため、Altemeier法を応用した腸管切除・形成術を行った。

    【考察】本法は元のストーマ孔から施行でき、開腹による再造設法と比べると手技も容易で比較的短時間で、より低侵襲に施行可能である。また、腸管壊死や再発のリスクも低いと考えられる。ストーマケアも早期に再開可能である。

    【結論】本法は、ストーマ脱出に対して有用な治療選択肢の1つとして考慮すべき方法と思われる。

研究報告
  • 小澤 平太, 丸山 和子, 小川 洋子, 瀬尾 雄樹, 鯉沼 広治, 石塚 満, 板橋 道朗
    2023 年 39 巻 3 号 p. 169-178
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】ストーマ造設とケアに関する考え方に、医師と看護師の間で相違があるのかを明らかにする。

    【方法】栃木県ストーマ研究会所属の23施設に勤務する医師23名と第37回栃木県ストーマ研究会に参加した看護師37名(うち皮膚・排泄ケア認定看護師、以下、WOCN:12名)を対象に、メールまたはオンラインでアンケート調査を行った。

    【結果】ストーマサイトマーキングは22施設(96%)で実施されていたが、WOCNがマーキングに関与している施設は、待機手術で12施設(55%)に対して緊急手術では6施設(27%)であった。一時的ストーマを回腸で造設すると回答した医師は86%であったが、97%の看護師は、結腸のほうがケアしやすいと回答した。回腸双孔式ストーマの排泄口の高さ比(口側:肛門側)は、医師は2:1など「口側を少し高くする」が69.6%、1:1が13.0%、10:0が17.4%で、看護師の希望は2:1が46.5%、1:1が21.5%、10:0が32.0%であり、看護師は、肛門側は低いほうがケアしやすいという回答が多かった。

    【結語】造設する側の医師とケアする側の看護師の間で、ストーマに対する考え方に少なからず相違があると思われた。

地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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