抄録
【背景】筋ジストロフィーにスピーゲルヘルニアを合併した切除不能上行結腸癌に対して腹腔鏡下回腸ストーマ造設術を施行した際の工夫や注意点に関して報告する。
【症例】80歳代、男性。食欲不振、便秘を主訴に受診。術前検査より上行結腸癌、多発肝転移の疑いで、腹腔鏡下腫瘍切除または回腸ストーマ造設術の方針とした。筋ジストロフィーによる腹直筋萎縮と両側スピーゲルヘルニアを認めたため、術前に臍尾側の腹直筋が広い平面部分にストーマサイトマーキングを施行した。術中所見で腹膜播種のために腫瘍は切除不能と判断し、双孔式回腸ストーマ造設術のみ施行したが、腹壁脆弱性に起因する傍ストーマヘルニアやストーマ脱出の予防を念頭に置いてストーマ造設術を行った。術後経過良好で24日目に退院し、ストーマ関連合併症を生じることなく、術後4ヵ月目に原病死した。
【考察・結論】腹直筋萎縮を伴う筋ジストロフィーにスピーゲルヘルニアが合併した患者では、ストーマ関連合併症の発生リスクが高いため、綿密なストーマサイトマーキングと丁寧なストーマ造設術が重要である。本症例では、術前より外科医と皮膚・排泄ケア認定看護師が協力して計画的に取り組むことで、患者のQOLを低下させないストーマケアが実現可能であった。