抄録
ストーマ造設後の合併症は、患者にとって生活の質の低下を招く。本総説では、ストーマ脱出・傍ストーマヘルニアの予防対策と治療について解説する。
ストーマ脱出のリスク因子として、大き過ぎる腹壁ストーマ孔、挙上腸管のたるみ、大き過ぎるストーマ傍腔(腹壁とストーマとの間隙)、経腹直筋経路以外での腸管挙上、腹腔内経路でのストーマ誘導、腸間膜の腹壁への無固定などがある。手術療法としてストーマ脱出の修復方法に応じた分類があるが、どの症例にどの術式が適切かという明確な基準は示されていない。
傍ストーマヘルニアのリスク因子として、大き過ぎる腹壁ストーマ孔、大き過ぎるストーマ傍腔、経腹直筋経路以外での腸管挙上、腹腔内経路でのストーマ誘導などがある。手術療法はメッシュ使用の有無に大別されるが、近年はメッシュを用いた修復術が普及しつつある。
ストーマ合併症には適切な対応が必要であるが、合併症の少ないストーマを造設するよう心がけることも重要と考える。