抄録
本報では、異なる材料を組み合わせることによって、手掌部、前腕内側、大腿部背面、足底の異なる4部位にそれぞれ適合した触感覚が得られるような表面性状を見いだすことを試みた。そこで綿と麻からなる2種類の糸を用いて、その本数とパターンを変えた織物15種類を制作した。ついで、これらに既製の床用織物5種類を加えた計20サンプルに対して官能評価実験を実施した。被験者は20_から_26歳までの80名である。これと並行して、織物全体における麻の面積割合の測定を行い、官能評価実験の結果との相関関係を検討した。得られた結果に因子分析法と重回帰分析法を適用したところ、いずれの部位においても硬軟感と刺激感の2因子によって触感覚が評価できることが判明した。しかしながら前腕内側や大腿部背面と足底では快適とされるパターンに違いが認められた。前腕内側や大腿部背面においては快適感と織物における麻の面積割合の間に有意な相関関係が認められ、平らに感じられる方が快適とされた。一方、足底での評価はこれらと大きく異なった。最後に各部位において快適とされたサンプルを貼り付けた椅子を制作し、身体各部位に適した材料を組み合わせることの有効性を確認した。