抄録
1990年代、経営戦略論の領域では「コア・コンピタンス」と「ナレッジ・マネジメント」という2つの概念が発展の機会を見た。確かにこれらは有益な考え方を提供できるものであった。しかし一方で、そういった点にアクセントが置かれるがために、見落としがちな重要な部分、すなわちデザインについての捉え方が、いまだ戦略論においてつながりを求めている。企業が経営戦略を立てる上で、独自性を打ち出すためにはデザイン・マネジメントが欠かせない。コア・コンピタンスを持っているだけでは、製品はつくり出せても、それが売り物として魅力的であるかどうかは別の問題だ。本報告では、デザインを戦略上の有力なツールとして用いるホンダを例に、この点に触れる。