抄録
今日、情報通信技術の発展、インターネットの普及にともない、教育の分野においてはeラーニングという教育手段が注目を集めている。eラーニングの中でも特に、Webを利用し、ネットワークを通じて双方向的な学習を行うものはWBT(Web Based Training)と呼ばれ、今日の遠隔教育の主流となっている。本研究は、このWBTを利用した遠隔教育の実践をめざす放送大学現代GPプロジェクトより協力依頼を受け、研究を行った。時間や空間の制約がなく、自分のペースで学習が進められる点が有力視されているWBTだが、その一方で、学習者同士のコミュニケーションの少なさや、学習の中途挫折率の高さが問題となっている。 そこで、本研究では、Webを利用した遠隔教育における学習支援システムを構築を行い、現在のWBTが抱えている問題の解決に努めた。最も特徴的なシステムとして、学習者が質問や補足といった意見を、アノテーション(付加情報)として教材の任意の部分に自由に投稿し、また、他学習者とこれを共有し評価しあう機能を取り入れた。これにより、インターネットに接続し、不特定多数の人間が互いに情報を受発信しながら学習を行うことができるWBTの特性を活かした、新たな遠隔学習のかたちを見いだした。