日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第53回研究発表大会
セッションID: H01
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ファイバー・アートにおけるテクスチュアの位置付けと表現効果
*山根 千佳子
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抄録
ファイバー・アートとは、繊維素材を駆使して制作された造形を指す。本研究では、この領域で主に使われている糸や布のテクスチュアによる表現効果について考察する。つまりテクスチュアがいかなる役割や重要性があるのか把握し、一つの表現特性としてこの領域の特徴を導き出す。また他の造形素材との関連性についても言及する。 研究方法として、まず文献からテクスチュアと触覚の基礎研究を確認し、その上でファイバー・アートにおける具体的な応用表現を作品を用いて考察する。 研究の結論を得る前段階として、テクスチュアとそれに関連する6つの要因(テーマ設定・技法・素材・色彩・形・展示方法)を抽出した。そこからテクスチュアの表現効果を4つにまとめ、その結果以下の結論が得られた。 まず自然にある変貌していくものをテーマとし、繊維から作品そして展示による外界からの影響までのプロセスも考慮していることから、時間の概念が含まれているのではないか。また環境との質感の対比から独自の空間を作り出し、鑑賞者が能動的に触れることによって作品の意図をより体感することを目的としていることから、インタラクティブ性があるとも考えられた。
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© 2006 日本デザイン学会
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