抄録
本研究は、「振り子運動」に基づき生成される「ペンジュラム・パターン」を非線形力学系の観点から、特にその数理モデル化を通じ、新たな形体表現の可能性の探究を目指すものである。ペンジュラム・パターンは写実によらない造形方法のひとつとして、主に1970年代に構成学において盛んに研究が行われてきた。しかし種々の要因により、今日ではその研究そのものが下火になっている。前報ではこのような現状を鑑み、その生成規則を非線形力学系の観点から数理モデル化し、コンピュータ・グラフィックスの手法による形体生成実験の結果、新たな造形的可能性が存在することを確認した。本報では、引き続きペンジュラム・パターンの数理モデルによる造形的可能性の探究を試みることとし、特に、複数の初期値点の経時移動を基軸として生成される形体表現について報告する。