抄録
近年,木材はその吸放湿性や断熱性など物理的効果の他,視覚的な暖かさや柔らかさ,ムク材が発生する香りなどの心理的な効果が見直され,さまざまなかたちで室内空間に用いられている。一方、限りある木材資源を適材適所に有効に利用しようとする製品開発が盛んに行われている。このような目的で開発された材料として「木紙」と「木織」がある。本研究では,これらの保有する感覚特性をSD法を用いた実験によって明らかにし,特性を活かした新しい用途開発を提案することを目的としている。実験の結果、「木紙」は、触覚と視覚の両方で、木材よりは和紙類に類似し、上品で伝統的な材料であると評価された。この結果を参照して、襖や障子などの建具に近い使い方として「木紙」を用いた間仕切り兼飾り棚を提案した。