抄録
老人ホーム内の高齢者が施設以外のサービスを楽しむことは出来にくいものである。例えば、自らの力で色々な花を植えることなど、普段の生活でできることや楽しいことが彼らにとっては、身体的・精神的な負担となり、やってみようとする意欲も失われているのが現実である。それに、この特殊な環境に対して園芸活動の楽しさにサポートできる製品や高齢者向けの製品開発のプロセスなどもほとんど行われていないまま、一般の健常者向けの製品だけを捉えているのが業界の現状である。 そこで本研究は、高齢者が施設内で花や緑にふれることのできる環境づくりと癒し効果の考察などを通じ、彼らの生活の質(QOL)の向上をはかるとともに、ミディアムエージェント機能というデザインプロセスの活用する研究である。まず、具体的なデザインプロセスの実践として、NPO団体の活動参加と施設内の園芸活動の拡大と普及のために出前プランターサービスの事例研究を行った。それに、NPO団体の活動の成果を捉え、デザインプロセスを生かしたビジネスモデルの開発に目標とすることを目的にする。