抄録
本研究は,北京と南京に在住する中国人学生を対象として,JIS Z9103で採用された安全色8色の潜在危険度について検討を行うことを目的とした。これら8色は,赤,オレンジ,黄,緑,青,赤紫の安全色6色と,黒,白の対比色2色である。460名の中国人学生を被験者として,リッカート尺度を用いて8色の潜在危険度の評定を行なった。その結果,北京,南京共に,オレンジと黄との間で危険度評定に有意差が認められなかった。しかしながら,北京においては,赤と白の評定で,文脈あり条件と文脈なし条件との間に顕著な差がみられた。また,南京の被験者の評定は,北京の被験者の評定よりも,危険度評定における中国の特徴がより顕著に反映されていることが示唆された。