抄録
本研究は、学習という概念について、アクター・ネットワーク理論を援用して記述することにより従来の心理学や認知科学とは全く異なった新たな学習観を展開することを試みたものである。東横学園高等学校をフィールドとし、大学や企業と連携した学習環境のデザインおよび情報教育実践を通して、14ヶ月間にわたり文化人類学的フィールドワーク調査を行った。従来の心理学や認知科学において学習とは、個人の知識や技能が一般化されることや抽象化されるプロセス、または新参者から熟練者へ至るプロセスであり、個人の内的な変化として扱われて来た。しかしアクター・ネットワーク理論の観点からすれば学習とは、学習者やそれをとりまく人間、またそこで使用されるコンピュータやテキストなどの人工物を含んだ異種混交のアクターが、相互に関心を翻訳し、交渉を通してネットワークを構築するプロセスであると言うことが可能である。