抄録
情報デザインの中心的な課題はコミュニケーションである。コミュニケーションを課題したデザインでは、多くの場合、情報デザインにおいて前提とされている、環境や状況、雰囲気、人の役割などをデザインの中心的な課題とする視点がより有用であると考える。コミュニケーションを成り立たせる要素は、人同士だけでなく、空間、状況、道具、人との関係や役割なども含まれ、システムやプロダクトだけではない。本研究では、人々のコミュニケーションを支える道具、空間、環境、状況、雰囲気、人の役割などの「しくみ」はデザインの対象と捉える。これらの「しくみ」の結節点を「場」と考えた。自発的かつ体験的に学ぶしかけをもったワークショップを対象に、ワークショップにおける「場」のデザインを実践し、詳述することで「場」をデザインすることの可能性を展望する。実践として、2004年度に行われた「送り手と受け手の対話ワークショップ」における「場」のデザインを、「場」を準備する過程の「場」づくりと、表現を行い「場」を活用する「場」づかいの視点から詳述する。