抄録
紙衣は、和紙で作った衣服で、17世紀から19世紀ごろの日本において、多くの人が着用した庶民服であった。近年では、環境への配慮という点から、和紙や和紙の原料を利用した衣服も発表されているが、独特のテクスチャーを持つファッション材料としても注目され、様々な分野で研究されている。近年、環境への配慮という点から和紙を衣服材料として用いる試みがなされているが、筆者はこれまで、日本の伝統和紙である紙衣和紙の研究や、紙衣和紙を材料とした衣服制作に取り組んできた。
本研究では、柿渋を用いた柿渋紙衣和紙の基礎的性能を材料試験によって明らかにすることを目的として、その結果を参考に、衣服デザインや構成方法の検討を行い、柿渋紙衣和紙の特徴を生かした作品制作を目標とした。性能試験を行った結果、衣服材料としての強度には問題がなく、布にはない強いハリがあることを明らかにできた。この特徴を生かすために、立体的なシルエットをデザインに取り入れて作品を制作した。