抄録
振り子の減衰運動の移動軌跡によって生成される形体である「ペンジュラム・パターン」は、その生成時に偶然的要因に非常に左右されることから、従来から系統的検討が困難な研究対象とされてきた。それに対し筆者は、前報までに非線形力学系の観点から、その生成規則の数理モデル化を通じて偶然性を排除するとともに、生成形体の解析手法を開発を試み、形体情報の観察・把握の方法について模索してきた。
本報では前報に引き続きペンジュラム・パターンの解析手法について探究し、その適用実験に関する事例を報告する。ここでは特に質点運動を、異なる二つの拘束条件下で展開した際の生成形体情報の解析を試みた。その結果、拘束条件の違いが生成形体の形質に多大な影響を与えていることなど、造形表現の上で興味深い知見を得ることができた。