日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第59回研究発表大会
セッションID: 6-21
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中国春秋戦国時代における鳥蟲書の変形と字画の屈曲について
坂田 光
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抄録

鳥蟲書は、春秋戦国時代の中国大陸のうち、主に南方で用いられた宗教的装飾書体である。青銅などの金属器に鋳造された金文書体であり、中でも戈を始めとする武器に用いられた例が多い。 鳥蟲書は、典型的な三つの特徴を持つ。まず、黄河流域で用いられた金文に比べて字画が大きく歪められ屈曲していることである。そして、縦長のプロポーションを持つこと、字画に鳥を始めとする人獣の姿が抽象的な装飾として融合されていることである。「鳥蟲書」とは、鳥や蟲(蟲は、中国においてはあらゆる生物を含む)の書という意味である。 鳥蟲書は、その奇抜さから書道史や歴史学上注目されることがなく、理解しがたい文字とされてきた。しかし筆者は、古代の造形にも、我々が今日行なっているデザインと同様の工夫を発見することができると考える。この研究では、鳥蟲書の外形的特徴であるプロポーションの変形について分析し、特にその最大のものである線の屈曲の効果と由来について考察した。

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© 2012 日本デザイン学会
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