抄録
経済成長、効率化を目指し、消費社会が広がる現代において、人々のコミュニケーションの減少、自然と人々の関係の疎遠化などの問題が生じている。この研究では、万人に共通した生活の要素のひとつである「食」をデザインとして改めて取り上げ、ソーシャルイノベーションデザインを考えた。まず、GNHを基とした、筆者による「望ましい豊かな生活の要素」を示し、その正当性を検証する。伝統的食文化を概観することにより、「食に関する生活の意識・行動指針」を導出。そして、その指針の実行によって生じる心理や状態を、「望ましい豊かな生活の要素」に照らし合わせた。 研究対象地域は、パラオ共和国ニワール州とし、2010年5月から2011年4月までの3度にわたる食生活の意識・実態調査を行った。結果として、13の「食に関する生活の指針」を導出した。それらは「望ましい豊かな生活の要素」の全体に関連性をもっており、豊かな生活づくりを支える大きな要因となりうるといえる。