本論文では,セレンディピティの生起を促すシステムの構築に向けた基礎研究として,マン‐マシン間でのインタラクション性の導入によるマン‐マシン・セレンディピティを活用した創発デザインシステムを提案する.セレンディピティとは,偶発的に価値のある発見をする能力を意味する.このセレンディピティをデザインの発想に活用できれば,新しい価値や意味をデザイン対象に付与することが容易になると考えられる.本論文では,プロのデザイナーとエンジニアを被験者として,提案した創発デザインシステムを用いた椅子の形状生成実験を行なった.その結果,インタラクション性を導入した創発デザインシステムを用いることで,セレンディピティの活用による偶発的な発見の機会が促され,新しいデザイン発想への可能性を示した.