抄録
人と動物の関係は、時代の変化に伴い「役に立つ道具」から「癒し」そして「家族」「親友」と変化し始めた。人間基準に作られた日常生活の場の中で、人と動物、双方に無理なく、互いに寄り添える関係であり続けるためには、それぞれの生態に適した環境デザインを行う必要がある。本研究ではアメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンが提唱するアフォーダンスの考えを人間だけではなく動物にも応用することで、人と動物の双方に有益な環境のデザインの提案を行う。はじめに、研究の前段階としての知見を得るため、一般家庭で飼育されている犬を対象とした観察実験を行った。その結果動物にとっても生活の質を向上する手段としてアフォーダンスを利用したデザイン提案が有効である事がわかった。そこで動物のアフォーダンスを利用したデザイン提案の応用として盲導犬に焦点をあて、北海道盲導犬協会におけるインタビュー調査を行った。調査で得られた知見により、盲導犬は目的物の判断基準の多くに、人間同様視覚情報を用いている可能性があることが判明した。これにより盲導犬の誘導とアフォーダンスには密接な関わりがあると推察される。