抄録
本研究は、2011年4月に開館した札幌市円山動物園「は虫類・両生類館」の来園者による展示デザイン評価調査の結果を述べたものである。62名の成人を対象に観覧前後にアンケート調査を行なうとともに、観覧中に全46の水槽展示について「お気に入り」と「いまひとつ」の投票を依頼した。その結果、観覧後の印象として、「個体の美しさ」や「個体の多様性」については観覧者の93%が印象に残ったのに対して、「個体の繁殖技術」や「生息地の多様性」、「個体の習性」についてはあまり印象が残らなかった。しかし、動物園に比較的に近い札幌市内在住の観覧者の83%が「繁殖技術」についての印象が強いことがわかった。主成分分析の結果、必ず来たい、とても楽しかった、「お気に入り」の投票率が高いといった、来館後に好意的な感想を持った観覧者ほど展示に対する観点が多様になったことがわかった。