抄録
情報を伝達する際,同一のデータであっても,その表現方法や伝達方法によって受け手が読み取る情報には違いが生じる.本研究では,情報視覚化によって,より多くの情報を受け手に伝達するために,情報デザインの立場からのアプローチを行った.具体的には,インストラクションという行為を情報伝達システムとして捉え,情報がやり取りされるコンテクストを重視する考えに基づいた情報視覚化システムの制作・評価を実施した.日本の都道府県庁所在地間の移動時間データを視覚化するシステムを用いたケーススタディの結果,一度に大量の情報を示す手法よりも,少量の情報をユーザ操作に応じて示す手法を用いるほうが,受け手はより多くの情報を読み取れることがわかった.また,同一のデータを異なる方法で視覚化する2つのシステムを,続けて操作することで発生する学習効果の影響も,少量の情報をユーザ操作に応じて示す手法のほうが小さいことも明らかになった.以上の結果から,より多くの情報を伝達するためには,情報がやり取りされるコンテクストを考慮した視覚化手法が有効であることが示された.