抄録
近年,高齢化や生活習慣病の増加により,食生活を通して健康の維持・増進や疾病の予防を図るという考え方が広まりつつある.普段の食事が重要なのは言うまでもないが,より積極的に健康の増進を図ることを目的とした食品として注目されているのが「特定保健用食品」,いわゆるトクホである.本研究では,トクホマークが植物性食用油購入時の消費者の眼球運動に与える影響を詳細に検討し,トクホマークのパッケージデザインにおける役割について考察した。実験では30~40代の専業主婦を対象に、食用油購入時の状況を想定した実験環境下において眼球運動を測定した.パッケージデザインの記載項目を「キャッチコピー」,「栄養成分」,「品名」,「使用上の注意」などの9項目に分け,トクホマークに0.3秒以上注目した人と注目なかった人の各記載情報に対する視点の移動を比較した.その結果,トクホマークに注目してなかった人はトクホマークに注目した人よりも「栄養成分」と「概要」を長い時間注視していたことが明らかになった.また,質問紙調査の結果から,被験者は栄養成分の半分程度をあまり良く知らないと考えられる.以上の結果から,消費者はトクホマークは栄養成分について良く知らない消費者を安心させる一方で栄養成分や概要などに対する注意を抑制する効果を持つ可能性が示唆された。