抄録
人々は、普段の対話の中に自分の行った行為について改めて考えてみる機会をもっている。そこでは、その行為が何であるのか、その意味や価値に各々が気付くこと、すなわち「ふり返り」が起きている。本研究では人々の「ふり返り」という認知過程に着目することから、医療現場をフィールドに、看護業務を支える新たなコミュニケーション活動を形づくるデザインとその活動を支えるソフトウェアツールのデザインを試みている。 本稿ではこれらデザインを展開する起点として著者らが行っている共同デザインの構築に向けての試みと、そこに発見的に新たなデザインコンセプトが見いだされたことについて報告する。試みでは、看護師たちが自らの業務をふり返る機会を創出するために、彼らが「表現」を体験するワークショップを行った。そこから、看護師たちと著者ら研究チームとの共同をとおして新たなコミュニケーション活動のコンセプトを見いだしている。その中で、看護活動において看護師の思いや経験といった心象の外化の可能性を見いだした。今後はデザインコンセプトをもとに、その心象を扱うソフトウェアツールの画面をデザインしていき、実働モックアップを制作していく。