本研究では1960年代日本でのイラストレーションという領域について述べる。宇野亜喜良と横尾忠則という二人のデザイナーが描いた、演劇集団・天井桟敷公演「毛皮のマリー」のポスターを比較することによって、 当時起こったイラストレーションという領域の形成がどのようなものであったか明らかにすることが目的である。研究を通してイラストレーションという領域を捉えるにあたって、絵画的であるか、デザイン・構成的であるかというふたつのコンセプトが考えられることがわかった。本研究で取り上げた 宇野は絵画とイラストレーションを区別しないで表現しているのに対し、横尾は絵画とイラストレーションを完全に異なるものだと認識していることがわかった。