抄録
空間的に展開されるインスタレーションやインタラクティブアートは、作品の設計に鑑賞者の移動や動作を含むが、作品の展示記録において鑑賞者の振舞いが残されている例は少なく、ビデオや写真に写りこむ人物も作品のサイズや動作を解説するためのデモンストレーターの役割を担っている場合が多い。そのため実際の鑑賞者の行動を作者が観察する機会は少なく、その意味で、記録資料の創造プロセスへの関与は限られていた。本研究では、これまで記録されてこなかった鑑賞者の振舞いを時間軸を持った3Dデータとして記録する「鑑賞者ボーン撮影システム」を開発し、岐阜おおがきビエンナーレ2015にて展示された映像インスタレーション作品「The Dive-Methods to trace a city」(八嶋有司)を題材に撮影実験を行った。また取得したデータを元に、軌跡を伴ったボーンアニメーションと3Dモデル出力による新たな展示記録の活用を試みた。
今回開発した手法はアーカイブ分野だけでなく、建築分野やプロダクトデザイン分野での評価検証や、デザインプロセスにおけるユーザの行動観察への転用など広い応用可能性を持つと考えられる。