抄録
【はじめに】われわれは、「医療におけるサービス・デザインの研究」をテーマとし、2015年から多摩美術大学情報デザイン学科と順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学のあいだで共同研究をおこなっている。【目的】本研究の目的は、医療者とロボット前立腺全摘除術を受ける患者のあいだの手術情報の情報伝達を円滑におこなうことである。情報が円滑に伝わる事によって,医療体験(手術体験)の満足感が向上し,ひいては医療者の業務負担の軽減や医療資源を有効利用につながる事を副次的な目的とした。【方法・対象】上記コンセプトのもと,手術ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた前立腺全摘除術において,医療者―患者間の情報伝達を円滑におこなう,サービスをどのように構築するかを検討し,試作を行ない評価をおこなった。【結果】医師を対象とした評価はおおむね良好で,使ってみたい,興味がある。といった回答はそれぞれ86%。83%であった。【まとめ】サービス・デザインによる手法を用いて,新規医療サービスが創出できる可能性が示唆された。