抄録
イノベーション創出に資する人材の育成では,実際の体験で裏づけられた確信を伴う実践知の獲得が重要であり,プロセスや手法の本質を理解した上で,既存の方法にこだわらず,顧客や環境などに応じて柔軟かつ大胆な発想で取り組めるようにすることが大切である.革新性のあるサービス創造をテーマとしたProject based learning型教育の初期段階において,学修者が教育での学びについて自身を顧客と捉えた共感的リサーチを行いチーム内で議論することによって,筆者が指導している教育の一事例ではあるが,学修者がサービスデザインで行う顧客コンテキストの共感的理解の本質や重要性を事前に体得することができることを確認した.また,リサーチ結果をプロジェクトチーム内で共有・議論することによって,個々のプロジェクトメンバの学びに対する考えの背景にある様々な欲求や困りごとを相互に理解し合うことができ,チームビルディングを円滑に進めることができた.この方法がプロジェクトの進行や成果物の革新性にどのように影響したのかについて,教育が終了した時点で学修者に調査を行い,方法を改良していくことが課題である.