抄録
本研究は、竹材の価値を向上させその活用可能性を拡大することを目的として、竹の持つ独特な構造に着目し、竹の表面部および内部を染色することで竹材の視覚的価値を向上させることを試みた。これまでに、竹材への染料や染色方法とそれに対応する染色可能範囲は明確となっている。そこで竹を扱う伝統工芸士とともに染色した真竹と女竹を用いたデザイン提案を行った。まず維管束のみを染色した真竹をヒゴ状に加工し、竹かごを制作した。また、染色真竹に曲げ加工を施すことで、竹製花器の竹枠を作り出すことができた。最後に赤、緑、青の三色に染色した女竹を用い、伝統工芸製品である房州うちわの試作を行った。これにより、染色竹材は竹工芸品に活用できる可能性が示唆された。染色についての評価は、竹内部に染色するため、割いた後染色部分が現れてくるのが面白い。普段竹細工に使われている朱色や茶色以外の色で染色するのが珍しく、新しさを感じたという評価が得られた。