抄録
「地方創生」の名の元に現在全国各地にて、膨大な数の「地域イベント」が開催されている。新潟県三条市「三条マルシェ~ごった市ホコテン~」は人口約10万5千人で最大9万8千人(2013.10.14)の来場者を記録するなど、成功事例として大きな注目を集めている。月1回中心市街地を歩行者天国とし、屋台テント村とステージを楽しむ。 このごくありふれた地域イベントが、なぜここまで人を集められるのか。ボランティアの市民による運営組織「三条マルシェ実行委員会」メンバーは、どういった動機で参加し熱心に活動しているのか。どこにこの地域ならでの、あるいは運営システムに特別な理由があるのだろうか。著者は委員会メンバーとして立ち上げ時から関わり、共に歩んできた。そして、多種多様な立場を持つ委員会メンバーたちが「自分たちがやらなければ、マルシェは何も始まらない」と強く信じ、自分の役割を自発的に探し、確実にタスクを遂行していくプロセスに、「ことのデザイン」の実践を見い出した。この中には著者のデザインワークも含まれる。本稿では「三条マルシェ」という舞台と装置が「ことのデザイン」を創り出し、市民にとって特別な存在となった経緯を報告し、考察する。