抄録
多くのデザイナーは,デザインにおいてデザインスケッチを活用する.一方,デザイナーに求められる造形力の育成において,目の前に置かれた対象物を観察し表現する観察描画によるデッサンが重視される.本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画プロセスの関係の考察を目的とする.そのために,デザインを学ぶ10名の大学生のデッサンとスケッチの制作プロセスを比較した.その結果,デッサンスキル高の被験者はデッサンにおいて短時間で立体感を表現し,スケッチスキル高の被験者はスケッチにおいて短時間で立体感を表現することが確認された.以上より,デッサンスキルとスケッチスキルには,的確な線や陰影の表現と言った手の動かし方に関わるスキルの違いに加え,それぞれの目的に合わせた立体認識の方法やスキルが影響することが示唆された.