抄録
デジタル絵本は従来の印刷・製本された形式の絵本と違い、より新しいインタラクションを体験できるメディアであり、「デジタルえほんアワード」といったコンペティション受賞作品などでは、その特徴を用いたゲーム性の強い作品が散見される。しかし一般的に絵本に求められる機能は、ゲーム性ではなく、ストーリーを読み、想像する力の涵養だと考えられ、これはデジタル絵本においても同様と推察される。
そこで音や動画を使ったインタラクションを用いると同時に、連続したステージのデジタル絵本を制作した。これは従来の印刷絵本にあったページをめくるという体験によるストーリーの理解に代わって、ユーザの主体的なステージ内移動を誘引することで、ストーリー想像力の増進の追求した結果である。その題材として一般的に良く知られた昔話としてグリム童話版の「赤ずきん」を採用し、よりユーザが自律的にストーリーを構築するデジタル絵本の可能性を探った。