本研究では、ショッピングセンターでの回遊行動に適したナビゲーションインタフェースの提案を行った。近年、ショッピングセンターの大型化によって店舗数も増加しており、様々なものを見てまわるという回遊行動の楽しさが増している。しかし一方で既存のフロアマップやサイネージは平面的で読み取るのに時間がかかるものが多く、スムーズな回遊行動の障壁になってしまっている。そこで、実際の回遊行動中におけるフロアマップの課題を明らかにし、デザイン要件として「目的地設定に悩まない」、「現実とマップのギャップを無くす」の2 つを抽出した。さらに、既存のナビゲーションのサンプルを収集し、空間の表現方法を分析した。3次元的表現の主観的視点と俯瞰的視点に着目し、提案ではこれら2つを組み合わせた表現を用い、プロトタイプを制作した。2次元的表現のインタフェースとの比較実験・印象評価を行い、注視時間を調査したところ、プロトタイプの注視時間は2次元的表現と比べ約半分となり、提案する表現方法の直感的な理解に対する有効性を示した。最終提案ではディスプレイを用いたデジタルサイネージとしてナビゲーションインタフェースを制作した。