抄録
震災伝承に欠かせない災害の記憶はダイナミックに変化し続ける。しかし、既存の災害ミュージアムの展示の多くは固定的であり、時間の経過とともに変化する個人の記憶や街の様子を展示に反映することが難しい。東日本大震災において甚大な被害を受けた宮城県山元町には、2017年10月に「山元町防災拠点・山下地域交流センター」(以下「センター」)が設置された。センター内には、地域住民によって「更新される展示」をコンセプトにつくられた防災情報コーナーが整備されている。
本研究では、センター内の防災情報コーナーの展示システムに対するユーザー評価を行い、地域住民が展示の更新を行うときの展示システムのデザインの到達点および課題点を明らかにすることを目的とする。そこで展示ポスターの入れ替えや追加が容易にできるという展示の特徴を利用し、地域住民を対象としたワークショップを企画・実施した。ワークショップ中の参加者の行為や言動、記述を評価対象とし、展示の更新に必要であると考えられる3つの要素、全体性(展示全体の質を維持すること)、持続性(繰り返し更新が行われること)、参加性(地域住民のモチベーションを高めること)をもとに整理した。