抄録
本稿では、九州大学総合研究博物館が救出した歴史的木製家具の中から、木製標本棚、木製標本ガラス棚、木製事務用片袖机を取り上げて、これらに見られる同等品文化の特質を検討した。それらの同等品は、大略の形状、サイズ、表面材料が同じであるが、内部材料、細部構造、塗装色、附属品などが異なっていた。長い年月をかけて蓄積されてきたこれらの同等品の山こそが、九州大学における同等品文化の存在を物語っている。その背景には、備品台帳(カード式帳簿)が示すとおり、外形寸法と表面木材樹種以外は、製造業者・納入業者の裁量に委ねるという発注側の姿勢と、それを可能としてきた製造側の同等品製造能力とが存在していた。「教育環境の均質化」と「入札による購入金額の妥当性」との狭間において生まれてきた「同等品文化」は、学校用家具・事務用家具の主流が木製から金属製に移り変わる中においても引き継がれて、今日に至っている。