抄録
プロダクトデザインにおける装飾について、現代デザインへの影響が大きいと思われるモダニズム思想を中心に、同時期の他のデザイン運動を比較することにより考察した。モダニズム思想において装飾は否定されたのではなく、その方法論に変化があったのではないか。同じく産業革命の影響を受けたデザイン運動ながら、モダニズム思想における装飾は他のものとは異なる特徴を持っていた。それはインターナショナル・スタイルによる抽象性、普遍性と、機能主義思想による合目的性であった。これらの考察により得た、現代に則した装飾のあり方についての知見を、一つのデザイン提案として示すことを試みた。装飾自体が持つ機能として、プロダクトとコンテクストとの調和や、余白を描き出す機能が挙げられる。装飾が持つそれらの機能自体がプロダクトの目的となる、つまり装飾そのものをプロダクト化した。紋様が周辺を緩やかに占拠し、空間に内外への方向性が生まれ、単純に区切る以上にプロダクトと空間、その関係性に意味を与える。その紋様は、アール・ヌーボー的な植物柄をさらに抽象化したものとした。