日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
セッションID: A1-01
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「虚構空間への固有名詞の挿入」による笑いのデザイン
*吉松 孝池田 美奈子
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抄録

「シットコム・コメディ番組」という虚構空間に於いて、人名や地名に「実在する固有名詞」が挿入されるケースが見られる。著名人本人が、その著名人の名前で登場するカメオ出演のみならず、会話中に「実在人物」「ニュース性の高い話題」を挿入させる表現技法である。当技法は、米国 Big Bang Theory、中国「愛情公寓」ともに使用されており、番組に俯瞰性を与え、笑いの生成に一定の効果を生んでいると考えられる。笑いの先行研究における4つの理論を元に、笑いが起きる仕組みを7つの大分類項目、67の小分類項目を設定した。分類に、両作品のスクリプトを当てはめた結果、事前に区分された項目「実在人物の会話の話題への挿入」を中心に、主題を説明できる要因が見られる。「固有名詞の挿入」は、直接笑いを取れる効果のあるものと、設定レベルに影響を与えるものに分けられる。本研究は、シットコム番組に於ける「実在固有名詞」の持つ機能と効果についての考察と、米中作品に挿入される実在固有名詞の属性の共通性と差異の検討を目的とする。番組に「さらなる虚構」や「現実」が出現することで、メタ構造を与え、笑いのバリエーションが増加するのではないかという仮説を検証する。

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