茶の湯は日本の伝統文化の一つであるが生活環境の変化などにより日本人がその文化に触れる機会が少なくなってきた。本研究は茶の湯における掛軸に着目し、それを介して行われた主客のコミュニケーションを体系化し、それを用いて新たなコミュニケーションツールとしての掛軸あるいはそれに代わる表現手法を確立させることを目的とする。
; それにあたり、安土桃山時代に茶人として活躍した千利休が開いた茶会で、掛軸が掛けられた茶会を調査した。調査には会記と呼ばれる資料を用いた。しかし、それらの会記では、掛軸が掛けられた事実はわかるものの、どの掛軸が掛けられたかの特定には至らなかった。つぎに会記から見られた千利休の人間関係や環境などから思想を考察した。そこで利休が禅に傾倒していることがわかり、掛けられた書も禅に関するものであると考察できた。また、別のアプローチとして写真資料として、利休没後350年に開かれた茶会記からも分析を行い、利休という人物をとりまく主客の関係が見えてきた。
; 今回得られた結果をもとに主客の関係をより普遍的に定義をし、新しいコミュニケーションツールへ落とし込んでいく予定である。