本研究は昨年度に発表した「紙立体を活用した触知によるアイデア生成手法(2)」の継続研究である。2018年、2019年の研究成果として、紙立体ツールの利点には「①メンバー同士で協力しやすくなる、②共有されたアイデアをリフレイミングしやすくなる」ことがわかった。一方で、これらの利点が「紙立体」に起因していることの検証が課題となっていた。本研究はビジネスアイデアをプロトタイピングするツールとして、紙立体の独自性について明文化することが目的である。
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; 本研究では、多人数で工作物を介しコミュニケーションしたりモノを作るという認知活動の特性を、「幼児の遊び」として知られる「ごっこ遊び」論をもとに分析する。そして2019年に実施したワークショップの記録動画を分析し、紙立体を空間に配置する際の「特徴的な活動」と創造性への付加価値を検証する。
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; ごっこ遊びは非言語的な出来事を通して、モノと行為と空間が密接に結びつき意味づけされる。
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; 子どものごっこ遊びは空間や道具の設定からスタートし、空間ができあがるとごっこ遊びが始まり、登場人物のシンボルを身につけ、道具があることでやってみようという能動的な気持ちが芽生える。
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;一方、紙立体を空間に配置し動かしながらストーリーとして意味付けるプロセスにも、ごっこ遊びと共通点を見出した。
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; ビジネスアイデアのプロトタイピングでは、空間を構成する活動と、空間の意味づけを下支えするモノを配置する活動が見出された。
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; さらに、表現された紙立体を移動することで、体験ストーリーを可視化する活動が見られた。
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; 紙立体を活用したワークショップでも、ごっこ遊びのようにショップの店員に「なりきる」ことやショップ空間に「見立てる」ことで、参加者は能動的に、短い時間でリフレイミングをしていることがわかった。
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; 紙立体は空間を表現することができる。立体的に空間を構造化する行為が、「能動的に空間に意味づけ」をすることにつながり、ビジネスアイデアの構想に発展していく様子が見られることを報告した。