人は街を歩く際にその街の雰囲気や印象といったあらゆるものを感じ取る。一方で、駅や観光案内所などで配布されている従来の街歩き用の地図は、観光スポットなど、所謂「名所」のみに焦点を当てたものが大半で、それらの地図は来訪者に対して街の雰囲気や印象を伝達していない。
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;筆者らは新潟県長岡市与板町において、多主体の参加する街歩きを通じて、街の雰囲気や人々が感じ取る印象を表現できる地図の制作を試みている。本研究は、筆者らの地図づくりのプロセスをまとめることで、豊かな街歩き体験を通じて上記のような地図を制作するための方法論を明らかにする。
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;第2章では地図のテーマ決定のために行った最初の街歩きについて、第3章では決定したテーマについての説明と、そのテーマに沿って地図に掲載するためのデータを集め、街歩きの面白さを共有するための二回目の街歩きについて述べる。第4章では、本研究の目的について再度考察し、本稿の内容をまとめる。
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;特に街の雰囲気や印象を抽出する際や、表現するテーマの決定後に地図に掲載するデータを収集する際には、対象地域を知らない外の人の目を活用することが有効であることが明らかになった。