身のまわりにある物の“色”のほとんどは、可視光の吸収を原理とする。一方、光を吸収しない物質であっても、その構造が特定の色の光を強め合うように反射すると発色する。身近なところでは、無色透明の石鹸水から虹色のシャボン玉が作られる干渉色の例が挙げられる。シャボン玉の薄い膜状の構造が光を強め合うように反射し、その膜の厚さに依存して強め合う光の色が異なるため、虹色に見える。宝石のオパールも、光反射の原理に基づいて発色する。オパールの構造と発色は、化学的に数百ナノメートル(1ミリメートルの数千分の1)の大きさが揃った粒子を合成し密に充填することにより模倣できる。
;本研究では、酸化ケイ素からなる人工オパールを合成し、その高い耐熱性を活かし陶芸の顔料として応用することを目的とした。陶芸では焼成のプロセスを経るため、高温焼成に伴う色の変化を詳細に調査した。また、研究を進める中で、「見る角度によって色が変わる」ユニークな発色と、従来顔料のような角度依存性の無い発色をコントロールできることが分かった。実験データに基づいた発色メカニズムの考察とともに、人工オパールを陶器に応用した実例を発表する。