本研究は、デザイン活動における自分らしさを発見し、他者へ伝えられるようになる方法を見出すことが目的である。自分らしさは、自分自身では無自覚で気づきにくい。そこで、他者との対話を通して自分らしさを発見していくアプローチとして、二人称的アプローチを活用したデザイン活動のふり返りに着目する。本稿では、2019年8月に東海大学で行われた夏期集中授業で実施したワークショップの事例を取り上げる。本事例における作品の制作過程をふり返る方法の特徴は、4つのふり返りの問いで制作過程の試行錯誤を抽出すること、自分の試行錯誤を語り他者の試行錯誤を聞く省察の対話を行うことの2点である。他者との省察の対話により、他者のデザイン体験の中に自分のデザインへの取り組み方と異なる予想外の思考や行為を見出す。それを相手のデザイン活動の「らしさ」として、言語化して伝える。この行為は、聞き手の視点で語り手の「らしさ」を言語化していると同時に、聞き手自身の「らしさ」の発見という2つの意味をもつ。このようにデザイン体験の語り手と聞き手を両方経験することで、デザイン活動における自分らしさについて理解を深めていくことができる。