本研究はアート/デザインを通したインクルーシブ防災システムの構築を目的として、東日本大震災後に自身が実施したアートプロジェクトを学習環境デザインの観点から検証する。理論的枠組みとしてアクターネットワーク理論を参照し、アートプロジェクトを導いた社会・技術的アレンジメント(人、人工物、装置の配置)とエージェンシー(行為主体性)を分析する。対象とする事例は「まねきの家壁画プロジェクト」(2013年)と「カオパネ制作隊」(2014年)である。その結果、2つのプロジェクトを導いた社会・技術的アレンジメントは震災伝承物やクリエイティブな市民団体が重要な役割を果たしたことが分かった。さらに、自閉スペクトラム症の中学生が学校外のプロジェクトで主体的に活動できるエージェンシーを発揮した。今後、防災教育を進める上でアート/デザインを通したコミュニティ形成が欠かせないと結論付けた。