隠消現実感(DR)という「実在する物体の視覚情報を減少させるために隠蔽・消去・透過させる技術」についての研究が行われている。先行研究の視覚情報低減表現(DR表現)は、拡張現実(AR)を使った画像処理によるものが多く、現実空間とより融合的な複合現実(MR)を用いた「仮想オブジェクト」によるDR表現についてはあまり考察されていない。
そこで、本研究ではヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)型MR デバイスを用いて「視覚情報低減オブジェクト」を制作し、現実空間の物体の視覚情報を低減させる表現の可能性を示すことを目的とした。
DR表現の先行研究の調査・考察から、<半透明><光源><鏡面><霧>の4つの「視覚情報低減オブジェクト」を制作した。制作した4サンプルの視覚情報低減の有効性について明らかにするために作業に集中できたかどうかの項目において印象評価実験を行った。評価項目はサンプルの「遮蔽性」と「存在感の隠蔽性」及び「使用感」の3つを選定した。実験結果から、<霧>は高い評価を受けたので、「視覚情報低減オブジェクト」としての有効性を示唆することができたと考えられる。