日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
選択された号の論文の211件中1~50を表示しています
  • 下沢 杏奈, 原田 泰
    セッションID: 1A-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    このプロジェクトは、大学生が「荘」と名付けた3軒の古民家を活用しながら地域の人々との関わりの中で学ぶ仕組みをデザインしようとするものである「荘」のひとつ「わらじ荘」は、その一部を地域の人々に開放している。筆者の考える学びの場とは、教える人から教わる人への知識の受け渡しの場ではなく、他者と出会うことで視野が広がり、自分の「やりたい」を表現し実践できる場である。それを「実践型学びの場」と呼び、主に函館の大学生を対象として、わらじ荘を活動の中心として試行錯誤を重ねてきた。当初は荘の住人が主体となって、「荘」の一階に飲食店を開業したり、イベントを行ったりしていた。しかし、活動を続けていく中で、生活の場としての「荘」と、実践型学びの場としての「荘」のバランスが崩れていった。そこで筆者は住人や「荘」への訪問者と話し合い、「荘」での生活や学びについての課題を見つけ、様々な工夫を繰り返してきた。また、この活動を続けていく中で、生活者にとっての学びの場であるだけではなく、ここに関わる地域の人々にも必要とされる場になってきた。現在の「荘」に至るまでの約2年間の活動の経緯や過程とそこから生まれた課題について、筆者自身の視点から報告する。

  • 実践者視点からのデザインプロセスの省察
    三野宮 定里, 原田 泰
    セッションID: 1A-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    本研究ではこれまで一般に言われてきた「デザインは課題解決である」というデザイン観を課題解決型デザインと定義し、これに対する新しいデザイン観として活動構成型デザインを提案する。本研究ではこれまでに国立歴史民族博物館をフィールドとした展示装置としてのデジタルアーカイブビュアーをデザイン、貼り箱制作工房をフィールドとした手間賃の見積もりアプリケーションをデザイン、UIデザイン事務所をフィールドとしたアイコンデザイナーのためのアイコンデータベースアプリケーション3つの実践を行なってきた。これらは依頼されて始まったものではなく、デザイナーが特定のコミュニティに参加し、コミュニティの実践活動を味わいながら「自分ならこんな貢献ができるかもしれない」と発想し、スケッチや試作を用いてメンバーに可能性を呈示することから生起したプロジェクトであった。本研究ではこのようなデザインアプローチを活動構成型デザインと特徴づけた。基本的なアプローチは表現物を媒介としながら構成的ループを繰り返すプロトタイピングであり、その目的や意図はコミュニティへの参加、方向性の探索、本格的な実装、コミュニティメンバーによる道具の改良と変化していくことが確認できた。

  • JOMON DESIGN PROJECT の実践
    西山 凜太郎, 原田 泰, 木村 健一
    セッションID: 1A-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    本研究の目的は、デザインプロセスからデザインを学ぶ方法とその効果を明らかにすることである。デザイン学習者である私が実践する共同デザインプロジェクトのデザインプロセスを対象に、一人称視点の研究手法を参照しながら、デザインプロセスを記録し、視覚化し、振り返ることで得られる学習について考察する。

  • 医師・医学者との学術映像制作を事例に
    岩倉 正司, 元木 環
    セッションID: 1A-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    映像表現は,形態や機能を示すことに適しているため,医学研究において,従前から研究成果の報告や教育コンテンツに多用されている。近年では,映像表現の技術は制作アプリケーションによって様々な表現を生み出すことが可能になったため,研究者自身で制作されることも多い。こういった学術映像,とりわけ医学研究映像の制作では,形状や動きなどに正確性が求められ, 映像表現技術を如何に使うのか重要である。その専門家である研究者が映像制作に長けていれば自身で表現できるが,そうでない場合,専門の制作者と共同で制作をすることになる。筆者らは,このような場合,研究者は自らの興味や関心が幅広く,一番表現したい事を,制作者に言語化して事前に伝えられない場合があり,研究者も制作者も互いに当事者性をもって制作を進めることが,適切で価値の高い映像制作に重要であると考えている。

    本発表で取り上げる制作は,医学者ら自身により制作さられていたが,映像表現の壁に当たり,学内の映像制作の専門家である筆者らを紹介され,課題の在処(どこがよくないため,思うような表現にならないのか)がわからないと相談があったことから制作が始まったものである。

    本発表では,この制作の打ち合わせ時の記録(録画ビデオ,電子メール)から,一連のデザインプロセス上のコミュニケーションを省察し,研究者と制作者が,どのように課題の在処を発見し,制作上の関係性を構築していったのか,そのコミュニケーションを考察するものである。

  • 相手を知るためのタイポグラフィデザイン
    佐藤 あみか, 横溝 賢
    セッションID: 1A-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    手書きの文字の形に着目することで見出した、相互理解を促す文字コミュニケーションの可能性について記述する。本研究の背景には、近年の複雑な社会問題を解決するためにデザインの力が求められている社会情勢がある。専門家と非専門家が垣根を超えて共創を行う際、他者の専門分野への過度な尊敬と遠慮が相互性と信頼の妨げになる場合がある。筆者はこの過度な尊敬と遠慮が生ずる要因は専門性による分業制度だと考え、分業ではなく互いに専門性を持った個人として接し共に問題に取り組む姿勢を育むことで、円滑に共創をスタートさせられる可能性があると考えた。上記を背景に2020年札幌市立大学で、専門性より先に個人があることを互いに受け入れるためのツール制作を目的として一人称視点から自らの専門性を語る学部研究を行った。その結果、手書きの文字を利用した表現ワークショップである「浮書きワークショップ」を発案した。同大学で「浮書きワークショップ」を実施したところ、文字を相手と共に描き癖を観察することで互いの役職や専門性を相手の人生の一部要素として受け入れる会話が見受けられた。本発表では「浮書きワークショップ」の実践結果を報告する。

  • 創造原理により人生の意味を自ら紡ぐ
    宮田 義郎
    セッションID: 1A-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    自らの場所で自らの手で暮らしをデザインすることが、生きることに意味を与える。人類史の中のデザインの分析から、効率と創造というデザインを動かしてきた2つの原理を導く。農耕社会から産業化社会において効率原理が優位になり、GDPを最大化するような社会デザインによって、自然資源の搾取だけでなく、暮らしのあらゆる側面における、専門家による創造活動の独占が生じ、我々の暮らしをデザインする可能性と能力の抑圧を招いたことを指摘する。ローカルな文脈で自らの暮らしを手作りするための資源を共有する共創のネットワークによる、LDP(Local Domestic Products)によるデザインを提案する。

  • 省察的実践者としてのファシリテーターのしかけによる参加者の学びの変容の考察
    竹丸 草子
    セッションID: 1B-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    現在ワークショップが広く浸透し一般に普及することで、その内容やプロセスデザインは多様になり、様々なワークショップの現場で学びの質や評価が問われている。本研究では、筆者が実践したこども園での美術鑑賞WSを分析し、参加者と実践者にどのようなワークショップの学びが起こっていたかを考察し、その学びの構造を理論化することを目的としている。また、ワークショップのファシリテーターを省察的実践者として着目し、実践の中の知のプロセスを解明することで、ワークショップデザインと学びについての関係性を考察した。分析はファシリテーターがワークショップ中に行う「行為の中の省察」と、ワークショップ終了後にビデオ等で行った「行為についての省察」の2つの省察によって、ワークショップ実践者と参加者の出来事を省察的実践者の視点から行い、ワークショップデザインと参加者の学びの関係性を浮かび上がらせた。ファシリテーターはワークショップ中の「行為の中の省察」をとおして、現場への関わり方を変容させ、問いや時間配分、活動の移行決断というしかけを行っており、その結果、参加者の学びがダイナミックに変容することが明らかになった。

  • 触覚の働きに着目したワークショップの実践を彫刻制作者の視点から振り返って
    竹本 悠大郎
    セッションID: 1B-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    1960年代以降の電子機器の発達,さらに1990年代のPCの普及によりデザインが手仕事から分離されつつある状況に対して,V.フルッサーはプログラムされたソフトウェアへの「従属(Subject)」を脱却し,自らの構想を「投企(Project)」することで新たな可能性に開かれる思考の必要性を提起した。本稿では彫刻制作者の視点から素材に自らを投企する思考に焦点を当て、その思考や感覚を他者に伝えることの意味についてワークショップの実践報告と分析をもとに考察する。彫刻に触る鑑賞活動を中心としたワークショップでの子どもたちの姿からは,制作者の思考や感覚が触覚や嗅覚,聴覚など様々な鑑賞者自身の身体による感覚を介して伝わるものであることが示された。制作者の思考や感覚を伝えるためには,物事を言葉として「理解(understand)」するわかり方ではなく,鑑賞者が自らの経験や感覚にもとづき身体で納得し,関係に開かれていく「了解(comprehend)」を触発する方法と,制作者と鑑賞者の相互的な関わりの場で生まれる新たな言葉が必要である。そしてその言葉を探ることは,制作者自身に本人も自覚していない思考や感覚を意識的に問い直させる意味を持つ。

  • アイデンティティ・ポートレートの制作から
    長島 聡子
    セッションID: 1B-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    「遺影とはどうあるべきか」という形式や体裁に対する問いから「どこまでの独自性なら許容されるのか」という表現における問いの中で試行錯誤した遺影制作の経験から、依頼主である遺族の意向を重視し、ある程度既定の形式に沿って、葬儀までに完成が要されるという時間制限の中で制作される「遺影写真」とは、デザイン的仕事だという考えを筆者は持っている。今回の発表は、アイデンティティ・ポートレートと呼んでいるコンピュータグラフィックスによる故人の肖像画の制作活動から「今は亡き人を描く」という行為にはどんな意味があるのかという問いに立ち、故人の肖像写真として知られる「遺影」制作が日本においてどのような意義をもつのかを考察することで、「故人の肖像画」と「遺影」との差異や共通点を探るものである。依頼をうけて始まる、いわば外から起こる制作と、美術作品のようにアーティストの内から起こる制作について、その差異や類似性から、ひいてはアートとデザインの領域の交差点について考察する。

  • 木村 篤信, 原口 悠, 山内 泰, 松浦 克太, 金 みん秀
    セッションID: 1B-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    社会課題解決にはNPO等の市民団体・行政・企業など単独組織では解決できない領域も多く,協働して取り組むリビングラボ(Living Labs(LL))が注目されている.筆者らは関係者が主体的に共創し,持続的に価値創出に関与できるまちのあり方を目指して実践しているが,従来のLL概念が共創活動のみに焦点をあてて方法論化されることに問題意識を持っている.

    そこで本稿では,従来のリビングラボ概念に加えて,その活動の苗床となる「主体的に動き出せる土壌」の仕組み,その活動によって未来を変えていくことにつながるための「総体的・連続的に深める問い」の仕組みを含めたエコシステムとしてリビングラボ概念を捉え直し,未来への変化に向けて持続的に活動が立ち上がっていくあり方について提案する

  • NPO法人さっされんのパッケージデザイン提案を事例として
    岩井 彩香, 小島 千乃, 高畠 栞, 平尾 実唯, 横溝 賢
    セッションID: 1B-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    今回筆者らが依頼を受けた昆布加工業者では、パッケージデザインに問題を抱えており、加工業者が昆布の価値を言語化できないことがその原因であると我々は考えた。

    この問題を解決するために筆者らはまず昆布自体の価値を知ろうとした。

    実際に昆布漁の行われる様似町、厚岸町に赴き、昆布漁を体験するという、昆布漁の生活世界に親しむことから昆布の営みの全体を学ぶことを行なった。

    本稿では、この社会実践型デザインリサーチの手法と、この手法実践を通じて筆者や事業者らがえた学び、発見について概説する。

  • 美術家との協働プロジェクトにおいて、デザインが個人の内面世界を改革し、新たな創造活動を喚起した経緯について言及する。
    中島 郁子
    セッションID: 1B-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    デザイン的思考方法は、社会や産業にどのような影響を与え、変容させ、そして改革に導くのか。筆者は地域コミュニティと地場産業において、さまざまな実践をおこなってきた。この間、プロジェクトに関わる当事者間に共通認識を持たせるために、閉じた系で使われている用語を平易に解説する「翻訳」行為、制作プロセスの「開示」、こまめな情報共有による「場の意識」醸成などを見い出した。「共感をデザインする」各手法である。このことにより、デザイナー含む当事者たちは同じ言語で同じ場を共有できる。自らの課題解決に対して、複層する視点を得、俯瞰して眺められるようになる。

    一人称的な狭い視点を離れ、二人称として相対的な視野を得た場合、その先にできることは何だろう。デザイン成果物として、より汎用性を持ったアウトプットを得るには、どのような試行錯誤が効果的だろうか。

    美術家川上りえとの共同プロジェクト「アーティストという迷宮」における試行錯誤と成果を通して、デザイン的思考方法を一個人に対して実践した場合の成果、言語表現と視覚表現の相互補完による共感、アートにデザインが成し得る多くの可能性について提示する。

  • デザインにおけるここちよい間合いとは
    樋口 涼佳子, 横溝 賢
    セッションID: 1B-07
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    2019年後半Covid-19の影響により私たちの授業は、二者以上が同じ空間と時間を共有しながら行う対面形式の授業から、時間や場所を共有しないという選択も可能なオンライン・非対面形式の授業になった。そこでは人とひとの間合いをミュートにすることも可能である。間合いの感得が必要なくなったため、視覚資料の授受が学びの中心となり、周りの人柄や生き方を感じる機会も少なくなった。そもそも、デザインというのはその活動そのものが他者を思いはかることから新たなモノやサービスを形づくる性質をもっている。つまりはデザイン実践者にとって間合いを感得することは自身の創造的な営みに不可欠な能力と言える。それにより、周りの人の哲学や生き方に自己を重ねることから、学びたいことの専門性を探究することが難しくなったといえる。筆者はこのような状況変化をきっかけに「間合い」を取り上げ、オンラインにおける間合いを形づくるラジオワークショップのデザイン実践を展開した。本研究では一連の実践を通じて、オンラインで間合いを意識しながらコミュニケーションを形づくるデザインの知恵と技を明らかにする。

  • 木塚 あゆみ, 伊藤 恵, 大場 みち子
    セッションID: 1C-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    この研究は「課題発見-解決型ワークショップ」をオンラインで実施し得られた知見の報告である。「課題発見-解決型ワークショップ」はフィールドワークによって街の人が抱える課題を発見し、解決するワークショップ形式の授業である。近年、デザインを学んでいない学生が課題発見および課題解決力を身につけるために「課題発見-解決型ワークショップ」を受講する機会が増えている。課題を解決するためにはフィールドで実際に観察し、得られる気付きが重要である。今回は対面授業と同等の気付きを得るために、オンライン授業で街歩き動画と中継インタビューを使った。全員で気づきを共有しながら観察したことで、フィールドでどこに着目し、どう観察すべきかを初学者でも理解できた。しかし結果的に、学生の提案アイデアが似たものばかりになってしまった。教育の観点からすると、バリエーションのあるアイデアが出ることで、他者の視点を取り入れ、それが学びにつながる。利用するリソースの重要性が改めて明らかになった。観察対象からの影響を考慮し、学生ごとに取り組むテーマを変える等の工夫が必要であることが分かった。

  • 第11回日本デザイン学会第1支部オンライン大会を事例として
    三河 侑矢, 横溝 賢
    セッションID: 1C-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    昨今の社会事情の中で、直接会わずにオンラインで物事を済ませることが非常に多くなった。時間や場所という制約を受けないことで得られる利点がある一方、物事に相応しいオンラインコミュニケーションの方法が取られているとは限らない。特に学会という知識交流の場においては様々な話題や専門的な用語が飛び交う中で、いかに研究について議論を深めることがオンラインの場でできるのかが問われている。とりわけ、人と社会の営みをより良くするために技術革新や専門分野の多様性を取り入れながら高次に展開しているデザイン学研究の分野では尚更である。このような背景から、筆者は日本デザイン学会第1支部においてデザイン学研究に取り組む専門家らの研究や語らいをオンラインで深めやすくなるような学会活動を模索した。本稿では学会という専門家の知恵や経験による語らいの場において、より多くの専門家、学生が互いに自身の経験などを持ち寄って語らえるような交流ができる道具づくりの過程と語らいの場での交流を省察する。

  • 原田 泰, 南部 美砂子, 木村 健一
    セッションID: 1C-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    筆者らはこれまで、デザイナーが地域コミュニティに入り込んで、メンバーとともにデザインを進めていく方法を研究してきた。このアプローチはデザイン系の演習授業にも応用できる。しかし、COVID-19禍で、学生が安易に地域コミュニティに入っていくリスクを冒せなくなった。また、対面授業も実施できなくなった。筆者らはこの状況をポジティブに捉え、完全リモートのデザイン演習授業を計画し、実践した。授業の枠組みに「惑星探査」というメタファを用いることで、全く対面の機会を持たなかったにもかかわらず、授業の準備から、実施、そして振り返りまで、一貫性を持ったコンセプトで授業を実施することができた。教員、受講生ともに「惑星探査」のクルーを演じながら授業を進めることで、誰とも会えず在宅で制作活動をする受講生にとっても、この状況を仕方なく受け入れるのでなく、積極的な意味づけをして参加することができたはずである。教室では当たり前だった様々なコミュニケーションをオンラインで補うために、教員側も様々な工夫を試みた。受講生のフィールドワークの成果も、作品のクオリティも高かった。今後、授業という枠組みを外し、デザイナーが地域コミュニティに、リモートワークを前提に関わっていくためのヒントを得ることができた。

  • -道北・浜頓別町に住む祖父との釣りを事例として-
    鈴木 葵, 横溝 賢
    セッションID: 1C-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    本研究では、祖父の住む道北・浜頓別町において祖父の暮らしを知るための活動を行う。それによって筆者が学び見えた浜頓別町の生活世界を視覚的に描き出し、浜頓別町が自身や社会にとって憩いの場所となり得る要素を探る。2人称的アプローチを通して、鮭釣りには自身の想像を超えた未知と関わろうとする共同体の知恵や技があり、人と自然の関わり合いを持続的に形作っていく人間の原初的な営みであることが分かった。

  • 元木 環, 喜多 一, 辰巳 明久
    セッションID: 1C-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは、2018年に所属大学のビジュアル・アイデンティティ(VI)とそのルールを整備した。また、VI整備後、大学広報課に寄せられる、多様な問い合わせに回答するための後方支援を行なってきた。本発表では、大学VI整備の在り方を模索するために、主に学内構成員からの60件の問い合わせ事例と筆者らの対応を振り返り、大学構成員にとってVIとそのルールがどのように捉えられているかを推論する。私たちは、大学構成員は少なくとも異なる考えを背景に持つ二つのグループがあり、これは構成員の多様性の要因の一つと考える。

  • ペアで取り組みチーム力を上げる
    松林 景子, 蓮池 公威
    セッションID: 1C-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    当社のソフトウェアのUIデザインチームには6名おり、ひとつの案件に対し1名のUIデザイナーが対応していたが、徐々に仕事の進め方や知見が属人化し、案件増加やサービスが複雑化する中、チームとしての対応力や複数案件への柔軟な対応に課題が出てきた。そこで、2015年からペアデザインの取り組みを進めてきた。ペアデザインは単なる作業分担ではなく、2名で知見を相互補完しながらデザイン案件全体の最終アウトプットまでを作り上げるやり方である。

    本稿では、ペアデザインの実践を振り返ることで見えてきた効果と要件、チームへの効果について述べている。その中で、ペアデザインの3つのポイントを挙げる。一つ目は、ペアでの知見の相互補完により、「品質とスピード向上」と「精神的支え」という2つの面での効果があること。二つ目は、ペアデザインを達成するためには、デザインゴールの共有と考えの可視化が不可欠であること。三つ目は、ペアの組み替えによる知識移転がチーム力を底上げすることである。今後も実践と振り返りを継続し、人数の増減や対象とするデザイン領域に応じて効果的なペアデザインを追求していく。

  • 厚生労働省のロゴタイプ制作を例に
    富田 誠, 菊地 英明, 辰巳 奈緒, 三宅 華子
    セッションID: 1D-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    近年、公共デザインはデザイン根拠の開示が求められている。本研究は、厚生労働省のロゴタイプ制作における、工程及び検討結果を記述しデザインの根拠を示した。また、その根拠の形成過程を省察を通じてモデル化した。その結果、形作ることを先行させつつもデザイン変数を特定し比較検討し、さらにその作業を説明しやすい順序にすることで、デザイン根拠とするプロセスを明らかにした。

  • Liao Man-Li, Hsu Yen, Wang Yan-Ting, Chi-Ping Chen
    セッションID: 1D-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    ここ数年、クロスカルチャーというテーマによる文化創造が美学経済をけん引し、台湾の客家文化がクロスカルチャーの潮流のもと、生活マナーや祭祀文化と、人間と文化の繋がりという面で、独特の文化要素を発展させて文化的精神の象徴という革新的価値を提示しています。本文の主な目的は要素の繋がりによるデザイン構造とそのプロセスを構築して提出することです。本研究は2つの段階に分かれます。

    (1) 文化的意義を内包する要素の形式によるデザイン構造を構築します。デザイン構造とプロセス(要素のつながりによる設計構造と呼びます)、纏花(silk-wrapped flowers)文化要素伝達の分析、デザインコンセプトと原則の構築、(2)検証のデザインへの転換: 要素のつながりによるデザイン構造と工業技術に基づくデザインを実践し、形式と工芸技法を文化の意義を伝えるキャリアとして、デザイン思想が具体的な実物作品に転換されて成立することを実証します。本研究は纏花(silk-wrapped flowers)文化の伝統的価値を生活中の精神の実際的質感に延伸することに成功しており、将来、関連する創作者がクロスカルチャーによる創作を行うときの参考にすることができます。

  • 企業における体験作文を活用したポートフォリオ制作の実践
    瀧 知惠美
    セッションID: 1D-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    本研究は、デザイン活動の省察からデザイナーの実践知であるデザイン知を見出し他者へ共有することで、組織内で相互理解を深め、協働しやすい状態をつくることを目指して実施している。本稿は、このデザイン知を表出させ他者へ共有する際の体験作文の有用性について考察する。本稿では株式会社MIMIGURI社内で実施したポートフォリオ制作会の事例を取り上げる。デザイン活動を省察する際、デザイン行為の背景にある「心象」を表出させるために、本事例では、4つの問いと体験作文の活用という2つの工夫をした。この結果、デザイン省察で用いる体験作文がデザイン知の表出と共有の観点で有用であることがわかった。業務中は、デザインにおける行為と心象が分かれた三人称的表現がされる。しかし、体験作文の中で行為と心象が一体となった一人称的表現として記述されることで、行為の背景にあるデザインに取り組む際の姿勢としてのデザイン態度や、デザインに対する価値観としてのデザイン哲学と向き合うことになり、デザイン知の表出に繋がる。また、体験作文の行為と心象を分けない表現が聞き手にとって追体験しやすい臨場感を生み出し、デザイン知の共有に繋がる。

  • 札幌市立大学 デザイン学部 横溝研究室を事例として
    横溝 賢, 佐野 弥詩, 佐藤 あみか, 樋口 涼佳子, 中者 睦望, 三河 侑矢
    セッションID: 1D-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    筆者はこれまで北東北・北海道を拠点に、農林漁業を営む人びとと共にその土地に根ざして暮らすことの意味を学びあう生活世界ベースのデザイン実践をおこなってきた。一連の実践と、それに応答する人びととの関わりあいの変化を研究してみると、人びとが向きあう社会の複雑さが見えてくる。この複雑さが次の実践の「問い」となり、自らのプロジェクトを自律的に動かす熱源となってきた。このような経緯から筆者は、生活世界ベースのデザイン活動から自らの実践の「問い」を見つけ、研究にしていくゼミナール(以下、ゼミ)実践を試みた。本稿では2019年後期に配属された学生5名(当時3年生)とのゼミ活動を振り返り、3年次のプレゼミ指導において学生が自分の「問い」を持てるようになるまでの学びのプロセスと、4年次の卒業研究ゼミ指導において「問い」を起点とした実践を研究として論述するための方法論的枠組みについて考察する。

  • アール・ブリュット展の関わりを通じて、自らの制作を振り返る
    飯塚 純
    セッションID: 1D-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    ディープラーニング技術を利用して作成された合成メディアの出現など、AIにおける生成技術が実証された現代の状況には、かつて写真機に出現によって、画家たちが具象から抽象へと表現の可能性を模索した状況と似ている。芸術の分野だけではなく、デザインの領域も含む「制作」という行為について今一度見つめ直す必要がある。本研究は、他領域で協働した実践経験を自身の研究領域である「見出す」という視点へと結びつけることで、自らの作品制作における思考のあり方をとらえなおすことを目的としたものである。

  • 鈴木 智咲, 張 益準, 桐谷 佳惠
    セッションID: 2A-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
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    日本では共働きの家庭が増えるなか,夫婦の家事分担は進んでいない.原因は夫が「名もなき家事」を知らないためではないかと指摘されている.名もなき家事とは,名前のある家事に含まれている,小さなつなぎの家事のことであり,快適な生活をおくるために必要な,大切な仕事である.本研究では,名もなき家事を知らない人に理解してもらうため,事典を制作し,情報の表現手法を検討した.調査から,理解を深めるためには,家事自体の存在を伝えること,そして,理解に重要な情報を伝えることが必要であると考えた.また,家事は文の表現よりイラスト表現の方が興味を引きやすいと考えた.最終的には,行動,場所,目的,タイミング,の4項目で分類し,イラストで表現した家事100事例を掲載し,検索,解説,連続家事一覧の3部門で構成した事典「名もなき家事大全」を制作した.

  • 安井 重哉
    セッションID: 2A-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    DiGITSとは、筆者らの研究グループが独自に開発に取り組んでいる、指向性触覚サインの総称である。端的に「触覚矢印」と呼ぶこともある。DiGITSには、なぞり時に異方性触感を生成するための形状パターン・表面処理・機構・素材等の構成方式によって様々なタイプがあると考えられ、我々の研究グループは、これまでにいくつかの方式のDiGITSを考案してきた。

    本研究では、DiGITSの方式の拡充に向けた事例として、「引き込み式ストッパーによる異方性触感生成部材」という新方式のDiGITSを考案し、その動作原理確認用プロトタイプを試作する。その後、考案者である筆者が動作を確認し、挙動の確認や得られる触感を記述する。そして、これらを省察し、考案者の視点でこの方式の特性や改善点・将来性について論じる。

  • サーキュラーエコノミーで目指す地球資源の共有化のサービスモデル試案
    篠原 雅人, 長谷川 敦士
    セッションID: 2A-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    近年、地球環境問題への関心の高まりに伴い、欧州を中心としてサーキュラーエコノミーという循環経済への移行が大きな話題となっている。私たちの生活を持続可能なものにし資源不足の問題を解決するため、大量生産大量消費型のビジネスモデルから、「モノの長寿命化」と「稼働率の向上」を前提としたサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルへの転換が求められる。本研究では、「モノ売り」から「コト売り」へのビジネスモデル転換に際して、単に利用型に変えるモデルでは、実際は短期レンタルになっているだけで、サーキュラーエコノミーが目指す共有財にはなっていないという問題に着目し、カーシェアリングサービスの利用者と、中古車を購入し親戚と共有財として共同利用をしている2つのタイプの比較分析を行った。そしてその違いから、単なる利用型のシェアリングサービスから、コモンズとしての利用型への転換に対しての課題を整理し、所有権や管理の手間をシェアする仕組みや、不特定多数の匿名コミュニティの中でも、個人情報を適切に開示し、権利や責務の範囲を明確化できる仕組みの整理を試みた。

  • サービス・ドミナント・ロジックの視点から明らかに
    住谷 陸斗, 渡邉 慎二
    セッションID: 2A-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究ではSNSを中心に購買行動を行っている若者に注目し、その購買行動の概観を明らかにすることを目指した。また、明確にするにあたりサービス・ドミナント・ロジックの考え方を用いた。はじめに、実際に若者の購買行動で使用される要素を抽出し、その要素の特徴を分析した。次に、その要素の中で購買行動に特に影響を与えやすい要素をDematel法を用いて分析した。以上の分析を整理し、若者の購買行動の概観を示した。結果として、欲しい製品の外観について若者が確認したい時は画像を扱うSNSを頻繁に使用していることが確認できた。またその中でも特にInstagramの要素が若者の購買行動に大きな影響を与えていることを確認できた。他のSNSと比較してInstagramは製品単体から使用シーンまで幅広く確認できること、また製品だけはなく製品のブランドや販売されている実店舗の雰囲気まで確認できることが若者に支持された理由として考えられた。以上より、本研究ではSNSを中心とした若者の購買行動を明らかにした。

  • 王 子喬, 安齋 利典
    セッションID: 2A-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    日本の現代医療は、世界的に高い水準にあると言える。しかし、病院と患者の関係という視点から見ると、不当なクレームと問題を抱えていることは事実である。このような問題の原因としては患者と看護師の間に認識差があると考えられる。本研究はサービスデザインと知識の可視化の方法により、この認知差を減少させることにより、コミュニケーション障害を補い、看護師と患者との調和を図ることを目指している。

  • 副島 拓哉, 佐藤 浩輝, 斉藤 基暉, 捧 良太, 上岡 菜月, 五島 直美, 川合 康央
    セッションID: 2A-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,ECサイトの拡大・成長や,実店舗のEC化の進展を踏まえ,既存のショッピングアプリにはない機能で購買を促進するアプリケーションを開発した.開発したアプリケーションでは,AR(拡張現実)を利用して実空間に仮想オブジェクトを配置し,ユーザが希望する商品のサイズを設定することが可能である.また,本アプリケーションでは,検索されたオブジェクトデータのサイズをもとに商品を検索し,実際の商品を提示することが可能である.

  • 制作者による期待評価と第三者による実評価の比較
    政倉 祐子, 若林 尚樹, 田邉 里奈
    セッションID: 2A-07
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、特定のテーマ・目的をもって動物園内を巡るためのガイドマップの制作と、ガイドマップを用いた観覧時の主観評価・分析した結果について報告する。制作者が来園者に期待する主観評価と、ガイドマップを手に実際に観覧した第三者による主観評価との比較分析を行った。制作したガイドマップを用いることが、来園者が新たな知識を得るのに効果的であることを示すとともに、提案したガイドマップの問題点や改善点についても議論する。

  • 靴デバイスによるナビゲーションと業務補助システムの開発
    田村 和也, 稲垣 誠, 新家 弘輝, 寺島 樹, 松井 祐希, 宮本 華帆, 川合 康央
    セッションID: 2B-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,オンラインフィットネスを支援するための靴型デバイスとそのデバイスを制御するアプリケーションを開発しました.靴型デバイスとして,モーター,電源,制御コンピュータ,アンテナを靴の中敷きに内蔵し,どんな靴にも対応できるようにした.また,靴型デバイスと通信し,位置情報やモーションデータと連動してデバイスを制御するアプリケーションを開発した.開発したシステムは,耐久性のテストを行い,一定の実用性があることを確認した.

  • 根本 藍, 藤代 裕之, 野々山 正章
    セッションID: 2B-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    電車内には車内広告をはじめとして多くの情報が存在し、ビーコンなどを用いた情報提供の方法も実験されているが、心地よい情報行動をもたらしているわけではない。

    そこで本研究では、スマートフォンと電車の時間的・空間的制約に注目し、電車移動における心地よい情報行動の要因を明らかにすることを目指す。乗車時間という電車の時間的制約と、混雑率や立ちか座りかという電車の空間的制約によって電車内の情報行動が異なるのではないかという仮説のもと、電車内の情報行動についてアンケート調査を行った。

    調査の結果、乗車時間が短い場合は断片的な情報行動が多く、スマホから目を離すのは乗車後10分弱であった。立っている場合は車窓や車内広告を見るなど車内に目を向けやすいことも明らかになった。さらに、目的地の違いによっても情報行動が異なった。

    これらの結果から、スマホと電車の時間的・空間的制約と目的地が電車移動における情報行動のデザインの要因であるといえる。具体的には、乗車後10分と目的地ごとの情報行動の違いを踏まえてデザインする必要がある。

  • 齊藤 真生, 櫻井 淳, 川合 康央
    セッションID: 2B-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    現在,外国人労働者の増加に伴い,英語,中国語,韓国語,スペイン語など,様々な外国語を習得する必要性が高まっている.本研究では,スペイン語を対象として,人間同士の円滑なコミュニケーション能力を獲得するために,ヘッドマウントディスプレイを用いた仮想空間上での対話学習システムを提案し、その有効性を検証したものである.

  • 岡山・犬島デザインリサーチプロジェクト「いぬじまカタログ」の考察を通じて
    池側 隆之
    セッションID: 2B-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本発表は,広範な創造的活動における映像利用の現状と照らし合わせつつ,また記録映像を巡る歴史も概観しながらその利用特性を明らかにし,デザイン活動との結節点を改めて見出すものである。その作業においては,筆者が2016年より実践している岡山県・犬島におけるプロジェクト,特に「いぬじまカタログ」と題した取り組むを参照する。

  • 鄭 響, 安齋 利典
    セッションID: 2B-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    現代社会における電子書籍などの台頭に伴い、ユーザーはデスクランプを利用する意識がますます弱まり、利用率は継続的に低下している。 近視は年々増加している。 この研究は現有のデスクランプの造形を変えることにより、デスクランプの魅力を上げ、デスクランプの利用率を高めるように、人々の生産と生活を促進するが目的である。 本研究では、人間中心の理論と実践方法で研究し、市場調査やユーザー調査を通じて、情報を手に入れる。ユーザーニーズに応じるデザインを行う。

  • 王 彦丹, 若林 尚樹
    セッションID: 2B-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は日中食品パッケージデザインの違いに着目している。アンケート調査の結果をコレスポンデンス分析とテキストマイニング分析を用いて分析した。分析より、中国人はパッケージデザインを込めている意味またが雰囲気を着目している、日本人はパッケージデザインのグラフィックの表現に着目している。分析の結果から、日中食品パッケージデザインの違いとその理由を明らかにした。

  • 総合芸術萌芽教育
    佐々木 美貴, 橋田 規子, 坂口 瑞穂, 平岩 佐和子, 金原 國昭
    セッションID: 2C-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    江戸川区子ども未来館で2019年にスタートした「ハイ!こちら、子どもアートセンター」は、内容を部分変更して、2020年度は絵画(ドローイング)・プロダクトデザイン・空間・物語・音楽・身体表現・展覧会と多面的な芸術体験を 1年の長い時間で経験し、芸術をトータルで考える思考を育成するためのプログラムを行った。

    2019年度の反省点では、各講座から、次の講座への連続性の意識が欠けていた為、子ども達の理解や、作品作りの協働において、不十分な結果となった。その為、2020年度は、平面から立体、空間につながり、そこから物語作りと展覧会と発表に重点を置くプログラムの見直しを図った。

    2020年4月~の緊急事態宣言中には、子ども達と手紙のやりとりで自画像と自分の未来像を描いて送り返してもらい、アート講座への興味の導入を図った。また、2020年度の講師陣には、各月のプログラムは次月の作品に繋がりを持ちながら、作品をリレーのようにバトンタッチして進め、発展してゆくことを重視してもらった。子どもたちは、毎回変わるジャンルのアートに向かいながら、自分の作り出したい表現方法を模索しながら挑戦する。ここでは、アート作品に繋がった周辺も横断的に捉え、包括的な思考から作りあげる力を備えた人材育成を目指している。

  • 「ゆうびんさん」の試作と評価
    田邉 里奈, 相澤 康智
    セッションID: 2C-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、親子間のコミュニケーションのきっかけや、対面での会話の機会を増やすことである。そのために今回は「ゆうびんさん」というコミュニケーションツールを提案する。ゆうびんさんは手紙に書いて気持ちを伝え合うツールである。親子それぞれに専用の端末があり、パートナー機能や手紙の管理機能など、対象に特化した機能を設定している。今回はプロトタイプを制作して実験と評価を行った。その結果、ツールに組み込んだ機能の有効性と、対面で話をするためのきっかけになる事がわかった。

  • 須藤 翼, 原田 泰, 安井 重哉
    セッションID: 2C-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    2020年度から「プログラミング教育」が必修化された。筆者は、プログラミング教育の中でも「ソートアルゴリズム」に注目した。そこで、「ソートアルゴリズム」の学習に役立つ知育玩具を作ることにした。まず、著者はブロック状の知育玩具のプロトタイプを作った。そのプロトタイプを子どもたちに試遊してもらった。その結果、子どもたちはそのプロトタイプを別の目的で遊んだ。次に、そのプロトタイプを木琴型に改良した。改良されたプロトタイプは、学生や大学の教員に試遊してもらった。試遊をもとに、著者は今後の改良を検討する。

  • ホリスティックな観点での助産師の地域における新たな役割の検討
    長谷川 知栄, 井口 博美
    セッションID: 2C-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    「人生100年時代」において,人生の時間が長くなる一方で,社会的孤立への人々の関心が高まっている.特に生み育てのタイミングにおける社会的な孤立は深刻な問題であるものの,日本では子どもを生み育てやすい環境整備が進んだという実感を持ちにくい状況といわれている.これまでに,社会の仕組みづくりにおける課題について医療機関,特に助産師の観点にて,加えて,デザインの観点,特にサービスデザイン思考の観点にて,仕組みづくりを検討した研究は少ないのが現状である.本研究では,子育て家族の孤立,特に出産前後における家族の孤立への支援について,社会の仕組みづくりにおける現状調査と課題を整理し,共創による仕組みづくりの可能性を検討した.そして,支援の仕組みづくりでは,助産師もしくは中立的な立場として医療専門家以外の存在を中心に活動を推進することが重要であることを確認した.また,仕組みづくりの活動においてサービスデザイン思考を活動に導入することで,活動をより促進することができる可能性を示した.一方で,活動を継続させる組織マネジメントや資金調達に係る課題があり,仕組みづくりおける工夫の必要性を確認した.

  • 子どもの主体性を高める家具の提案−その2
    何 乃馨, 杉下 哲
    セッションID: 2C-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    子どもは大人へと成長する過程で、様々な思い出ができる。私は、これらの思い出は子どもにとって、自分だけが持つオリジナ ルの「物語」と考えている。それらが生まれる空間は、子どもを豊かにすると考える。本研究では、物語が生まれる空間づくりに向けて、子どもの主体性を高め、子どもと一緒に成長できる家具を提案する。子どもは、余白を残した家具を自らデザインすることで、自分らしく作り上げるように促され、主体性を高めながら成長する。その中で、様々な思い出による「物語」に満ちた空間をつくることを研究する。

  • 視覚障害児支援における暗黙知的ノウハウの抽出・共有手法(1)
    三科 聡子, 赤井 愛, 若林 尚樹, 政倉 祐子
    セッションID: 2D-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    先天性視覚障害はその発生率の低さから希少障害ともいわれるようになってきている。そのことが視覚障害乳幼児とその保護者が視覚障害に関する情報を入手したり、仲間と出会うことを難しくしている。そのような現状の中で2013年に「視覚障がいを抱える乳幼児とその家族を支える会 ひよこの会」が発足した。ひよこの会では様々な企画を開催し、SNSによる会員相互の情報交換を活発に行っている。視覚障害という共通のワードを有する保護者達は、日常的な子育てに関する自らの経験を語り合い、その対話によって共感を築き上げていく。そして、それらは情報として会員間で共有されている。本稿では、視覚障害児を育てる保護者が有する「暗黙知的ノウハウ」を抽出し、共有する具体的な方法を構築する意義を明らかにする。

  • 視覚障害児支援における暗黙知的ノウハウの抽出・共有手法 (2)
    赤井 愛, 若林 尚樹, 政倉 祐子, 三科 聡子
    セッションID: 2D-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    視覚障害児の発達過程は非常に多様である。家庭や療育施設では、各児の状態に応じた多くの試みがあり、その中には『暗黙知的ノウハウ』が数多く存在していると推測される。一方で視覚障害乳幼児数は減少傾向にあり、これらノウハウの共有が困難な状態に陥りやすく、保護者の多くは就学に向けたレディネス形成に不安を抱えている。療育者・保護者が対話を通して個別に蓄積されたノウハウを可視化し、それを広く共有することは、今後の視覚障害児支援にとって重要な課題であると言える。そこで本報では『おしゃべり知』として、療育者及び保護者の多様なノウハウの抽出と及び可視化手法として、オンラインによる対話型ワークショップ開発を行った。「きっかけカード」による話題の提示と「落書きグラフィック」の活用により活発な対話が見られ、経験に基づくノウハウや新たなアイデアが多く抽出された。ワークショップ内で抽出されたノウハウの分類や発話量による対話パターンの分析を行い、より円滑なノウハウの可視化・共有につながるワークショップ設計の要件を抽出した。

  • 視覚障害児支援における暗黙知的ノウハウの抽出・共有手法(3)
    若林 尚樹, 赤井 愛, 政倉 祐子, 三科 聡子
    セッションID: 2D-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    視覚障害乳幼児のため、生活動作習得に関するそれぞれのノウハウを保護者間での自由な会話を楽しみながら共有できる場を『おしゃべり知』として提案し、そこでの暗黙知的ノウハウを抽出、可視化し共有する手法とそれを活用した対話型ワークショップの開発を目指す。試行実験として実施した2回のワークショップで作成された落書きグラフィックの分析から、それぞれのワークショップで話し合われた内容や話題相互の関係性、そして話し合いの進め方が図として構造的に示され、特徴として顕著に現れていることがわかった。

  • 高橋 基就, 赤井 愛, 白髪 誠一, 塩見 麻友, 宮田 哲, 浦谷 和生
    セッションID: 2D-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、視覚障がい児と晴眼児の双方が楽しむことができることを目的とする体験型ブースの制作を行なった。背景として、視覚障がい児にとって魚が“スイスイ”泳ぐ様やクラゲが“フワフワ”水中を漂う状態などの海洋生物の動きのイメージを感覚的に得ることが困難な点がある。そこで本研究では音像によって海洋生物の動きのイメージを感じることができる体験型ブースの制作を試みた。視覚障がい児と晴眼児の双方が同じ条件下で体験できるものとして、光が届かない深海を題材に『深海エレベーター』と題し、ブースをエレベーターに見立て、深海を目指し潜水していく中で様々な生き物に出会うというストーリーを設定した。そして、海洋生物を表す音を作成し、平板スピーカの指向性が強く周囲の音と混ざりにくいという特徴を活かし、出力される音のタイミングと音量の差によって調整をすることで、アデリーペンギンが目の前を横切って行くなど、6種類の海洋生物の動きのイメージを音像によって表現した。今後は視覚障がい児を含む子どもたちに体験してもらうとともにより臨場感のある表現ができるよう改善していく。

  • 王 興琦
    セッションID: 2D-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、3才から6才の一般児の社交的なスキルと緊密に関わる音声調節という課題に取り組むものである。具体的には、幼児が遊びながら音声調節能力を身につけ、社会性を育むことを目的とした幼児向けのゲームUXデザインに取り組む。プロセッシングを用いて作るこのゲームを通じて、幼児が楽しみながら音声に関する基礎知識を身につけ、TPOに応じた音声調節能力をステップアップさせることを目指す。

  • 大島 直樹, 何 宜欣 , 長谷川 淳 , 小川 毅彦
    セッションID: 2D-06
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、病院の待合室といった公共の場において抱きつかせる機器の形状を被験者の印象に基づいて見出すことである。抱きつくことでバイタルサインが計測できる機器を開発するために調査した。

    本稿では、視覚情報として抱きつくという行為を阻害しやすい形状要素について検証した。3DCGによって人体形状から抽象形状まで3段階で変化する6セットのモデルを評価対象とした。その結果、人体形状は周囲の環境や抱きつく対象によっては、抱きつくという行為に嫌悪感や羞恥心など負の感情を生み出すことがわかった。また単純に抽象化すれば抱きつきたいという評価を高められるわけでもないこともわかった。

  • 楊 鵬, 古川 侑佳, 久保 光徳, 田内 隆利
    セッションID: 3A-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    Due to the aging of craftsmen and the mechanization of agriculture, "Winnowing basket" as a kind of traditional farm tool, the handcraft of making it is gradually disappearing. This study aims to visualize and quantify physical tacit knowledge for making “winnowing basket” by a video with Openpose and 3D pose base line program, which are capable of extracting the pose of a person from deep learning as a different method than before. It would enable us to develop new approach to understand traditional techniques by utilizing the wide resource much more effectively, which is helpful in the transmission of the raditional craft education.

  • 林 秀紀
    セッションID: 3A-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    木育の教育理念を背景にデザインを学ぶ大学生への教育プログラムを提案した。方法は、森林調査による地域の森林や林業の持続性の問題の理解、森林の間伐材用いたデザイン制作実習、子どもの遊びを通した検証実験であった。この結果、学生が地域や木への親しみを感じ、環境意識が高まりや活動全般に強い参加意識が見られ、デザインと環境教育の効果が確認された。

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