本研究の目的は、「世界デザイン博覧会'89」において開催された第1回名古屋国際ビエンナーレ・ARTEC '89について再考し、その歴史的意義を明らかにすることにある。ARTECは1989年から1997年までのおよそ10年間開催され、それはいわゆる現代芸術のひとつのジャンルとしての「メディアアート」の基礎を形成したが、同時に情報化社会の転換期を反映したものであった。本稿では、この展覧会の社会的、芸術史的背景について議論する。結論は名古屋市のアイデンティティとハイテクノロジー・アートとの関係をめぐる諸問題を提示する。