筆者らはこれまで、デザイナーが地域コミュニティに入り込んで、メンバーとともにデザインを進めていく方法を研究してきた。このアプローチはデザイン系の演習授業にも応用できる。しかし、COVID-19禍で、学生が安易に地域コミュニティに入っていくリスクを冒せなくなった。また、対面授業も実施できなくなった。筆者らはこの状況をポジティブに捉え、完全リモートのデザイン演習授業を計画し、実践した。授業の枠組みに「惑星探査」というメタファを用いることで、全く対面の機会を持たなかったにもかかわらず、授業の準備から、実施、そして振り返りまで、一貫性を持ったコンセプトで授業を実施することができた。教員、受講生ともに「惑星探査」のクルーを演じながら授業を進めることで、誰とも会えず在宅で制作活動をする受講生にとっても、この状況を仕方なく受け入れるのでなく、積極的な意味づけをして参加することができたはずである。教室では当たり前だった様々なコミュニケーションをオンラインで補うために、教員側も様々な工夫を試みた。受講生のフィールドワークの成果も、作品のクオリティも高かった。今後、授業という枠組みを外し、デザイナーが地域コミュニティに、リモートワークを前提に関わっていくためのヒントを得ることができた。