本研究ではこれまで一般に言われてきた「デザインは課題解決である」というデザイン観を課題解決型デザインと定義し、これに対する新しいデザイン観として活動構成型デザインを提案する。本研究ではこれまでに国立歴史民族博物館をフィールドとした展示装置としてのデジタルアーカイブビュアーをデザイン、貼り箱制作工房をフィールドとした手間賃の見積もりアプリケーションをデザイン、UIデザイン事務所をフィールドとしたアイコンデザイナーのためのアイコンデータベースアプリケーション3つの実践を行なってきた。これらは依頼されて始まったものではなく、デザイナーが特定のコミュニティに参加し、コミュニティの実践活動を味わいながら「自分ならこんな貢献ができるかもしれない」と発想し、スケッチや試作を用いてメンバーに可能性を呈示することから生起したプロジェクトであった。本研究ではこのようなデザインアプローチを活動構成型デザインと特徴づけた。基本的なアプローチは表現物を媒介としながら構成的ループを繰り返すプロトタイピングであり、その目的や意図はコミュニティへの参加、方向性の探索、本格的な実装、コミュニティメンバーによる道具の改良と変化していくことが確認できた。